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【連載】酸素の上げどき?下げどき?

CO2ナルコーシスにつながる危険なケース[うまくいかなかったCASE]

  • 公開日: 2018/5/5

酸素の上げ下げを考えるとき、患者さんが低酸素状態になっているかどうかを見極めなければなりません。ここでは、うまくいかなかった事例から見極め方を解説します。


事例紹介

84歳男性肺炎
喫煙歴:20 ~ 80歳頃まで1箱/日程度、身長165cm、体重50kg、BMI18

●入院に至る経過
2~3年前から慢性的な咳嗽と喀痰があった。1カ月半程前から咳嗽がひどくなり膿性痰が出ていたが、発熱がなかったため、風邪だと思い、市販の風邪薬を内服し様子をみていた。徐々に食欲低下・活動低下がみられ、入院当日は、朝になっても起きて来ずぐったりしていたため家族が付き添い、受診となった。肺炎と診断され、肺炎の治療目的で入院となった。

●入院時の状態
[バイタルサイン]
体温37.4℃、脈拍120回/分、血圧140/92mmHg、呼吸回数32回/分、SpO2 94%(室内気下)
[画像検査] 胸部X線右肺野に2/3の陰影、胸水貯留なし
[採血データ] WBC 19000/μL、CRP 23mg/dL
[動脈血液ガス検査] 未実施
[身体所見] 呼吸困難感なし、喘鳴あり


COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは
肺気腫と慢性気管支炎が統一して定義された疾患概念。有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を特徴とする疾患です。

気流制限は、通常進行性で、有害な粒子やガスに対する肺の異常な炎症性反応と関連しています。COPDの危険因子には喫煙・大気汚染などの外因性危険因子と、患者さん側の内因性危険因子があります。

喫煙はCOPDの最大の外因性危険因子であり、日本人のCOPDの原因のほとんどは喫煙です。他に職業上の粉塵や化学物質(蒸気、刺激性物質、煙)、受動喫煙、呼吸器感染などがあります。

主な症状は、労作性の呼吸困難、慢性の咳嗽、喀痰です。これらの臨床症状がある場合や、喫煙歴など危険因子を有する中高年者であれば、COPDを常に疑うべきです。

COPDに典型的な身体所見は重症になるまで出現しないことが多く、気管支拡張薬投与後の呼吸機能検査で1秒率が70%未満でればCOPDと診断されます。ただし、他の気流閉塞をきたす疾患を除外することが必要です。進行すると低酸素血症、高二酸化炭素血症、低栄養状態、体重減少などが生じ、予後不良の因子となります。

酸素化と酸素療法の経過(図)

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