1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. 薬理学・薬剤
  5. ステロイドの使用をやめるときはどうすればいいの?

【連載】困った!を解決してステロイドの基本がわかる!

ステロイドの使用をやめるときはどうすればいいの?

  • 公開日: 2019/3/31

解決の糸口はココ

●急激な中止による生理的な影響を理解しよう
●「減薬」の際の注意点を覚えておこう


長期間投与を中止する場合は「減薬」が必要です

 ステロイドの投与を突然中止すると、副腎不全をきたし、死に至ることがあります。ステロイド療法中の場合、副腎は外部からのステロイド補充によりホルモン分泌が抑制され、機能低下が長期間続くと萎縮が生じます。そのため、長期間投与後にいきなりステロイドを中止すると、萎縮した副腎機能の回復が追いつかず、副腎不全や全身倦怠感、脱力感などのステロイド離脱症候群が引き起こされることになります。

 特に、膠原病などの自己免疫疾患では、症状をしっかりと抑えるために数カ月単位での投与が行われます。こうした長期にわたるケースでは、副腎が萎縮していると考えられます。その副腎が回復してステロイドホルモンが正常に分泌されるようになるまでには、相当な期間が必要です。1960年代の検証ですが、ステロイドを大量投与して副腎萎縮になった患者さん、もしくはクッシング症候群で原因となった腺腫がある側の副腎を取り、反対側の副腎が萎縮していた患者さんが、回復するまでの期間を観察したところ、完全な回復には9 カ月を要したという結果が出ています。回復力には個人差があるので、安全域を考慮すると回復期間は1年程度と考えられます。このため、症状が治まったタイミングですぐに投与を中止するのではなく、徐々に薬を減らす「減薬」をしていくことになります。

「減薬」はどのように行うか知っておきましょう

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

抗血栓薬を使用している患者さんの注意点

10月の脳卒中月間に合わせ、アストラゼネカが「抗血栓薬を服用中の患者さんに知っておいてほしいこと」と題するメディアセミナーを開催しました。本セミナーに登壇された国立病院機構九州医療センター 脳血管・神経内科、臨床研究センター臨床研究推進部長の矢坂正弘先生と、国際医療福祉大学医

2022/12/21

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
10位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741