【連載】COPDとは全く違う! 知ってる? 間質性肺炎の看護
機器を使用した間質性肺炎の治療|入院中のNPPV・酸素療法
- 公開日: 2019/7/28
退院に向けた機器管理が大切
間質性肺炎では呼吸器症状の変化が急激に出現しやすく、特徴として労作時の低酸素および強い呼吸困難感があります。そのため、呼吸困難感による生命危機への不安など精神的支援が重要です。機器導入時には全身状態だけでなく、精神的な介入や今後を見据えた機器管理を行う必要があります。
この章では、入院時から退院を見据えた機器管理を伴う治療に焦点を置き、必要性について述べます。
間質性肺炎における適応
酸素療法の適応
間質性肺炎の酸素療法では、酸素化の低下の程度に応じて酸素投与を行う必要があります。目標とする酸素飽和度は90%以上の維持を目安として酸素量を調整します(表1)。
特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)患者における長期間酸素療法(long term oxygen therapy:LTOT)は、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)と異なり、明らかな予後改善効果は証明されていません。しかし、副作用もないと報告されており、乾性咳嗽、呼吸困難、頻脈の軽減、健康関連QOL(quality of life)の向上を期待して、対症療法として用いられることもあります。
導入では、安静時と労作時の酸素必要量が異なるため、生活状況を踏まえた労作評価を実施して酸素流量を決定します。酸素吸入により、運動耐容能の向上や自覚症状の改善効果が期待されます。また、間質性肺疾患の進行に伴い肺高血圧が認められますが、酸素吸入は肺高血圧に対して治療効果が認められています。
●急性期での酸素療法
酸素療法を開始する患者は、心不全や肺高血圧症を合併しやすい状態にあるため、バイタルサインを確認しながら、労作時の酸素流量の調整を行います。投与量は血液ガス分析データを参考に決定し、パルスオキシメーターでSpO₂値90%以上となるように調整します。ただし、急性期の病状は不安定なため、マスクやカニューレなどでは酸素化が維持できず、しばしば後述するハイフローセラピー(high flow therapy:HFT)や非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)を要することもあります。
●慢性期/終末期での酸素療法
日本呼吸器学会によるLTOTの適応は表2のとおりです。間質性肺炎の初期は、安静時の酸素化が保たれ、労作時低酸素血症が先に起こるため、LTOTを労作時のみ導入することもあります。
患者によっては、低酸素血症になっていても呼吸困難を感じないことがあります。そのような患者は低酸素状態で動いてしまい、肺動脈の血管攣縮を起こし、右心不全を生じやすくなります。右心不全が生じると顔面や下腿に浮腫を起こします。体表に浮腫が認められる場合には、低酸素血症が原因となっていないか、観察・検査が必要です。
IPF患者はCOPD患者と違い、高度の低酸素血症となる一方で、終末期でない限りCO2の蓄積を起こさないという特徴があります。そのため、労作時の酸素吸入量を低めに保つ必要はなく、十分な流量の酸素を吸入させることが重要です。
また、IPFや特発性非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP)の呼吸不全例のなかには、睡眠時無呼吸症候群を併存している場合があり、酸素療法と併用して経鼻的持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)を導入して加療することもあります。