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【連載】慢性心不全患者のセルフマネジメント支援

【事例2】心不全急性増悪期にある患者の看護 ~急性期に行う療養支援の実際~

  • 公開日: 2020/1/14

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事例紹介

 Bさん、80歳代後半、女性

診断名
 急性非代償性心不全

既往歴
 高血圧、冠攣縮性狭心症(coronary spasticangina:CSA)に起因する陳旧性心筋梗塞(old myocardial infarction:OMI)〔冠動脈造影:左前下行枝中間部、50 % 閉塞(CAG:#7、50%diffuse)〕

現病歴
 陳旧性心筋梗塞から虚血性心筋症(ischemic cardiomyopathy:ICM)、左室駆出率低下心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)で入院歴がある。前回退院時に在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)を導入している。退院後は自宅で調子よく過ごし血圧はやや高めで推移していた。ある日、洗面所で入れ歯の手入れ中にしんどさを感じ、夕食後の薬を摂取したところ息苦しさが増強し、その先はあまり記憶がない。孫娘が自室内で倒れているBさんを発見し救急要請、当院搬送となる。退院後6日での再入院であった。

前回入院時の状況
 前回、心不全入院時の増悪因子は、活動負荷(家事動作)と精神的ストレス(孫との生活)であった。また、前回入院中に夜間発作性呼吸困難の症状があり、いずれも血圧上昇を認めていた。そこで、後負荷不適合としてアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、血管トーヌスも考慮しカルシウム拮抗薬が開始、夜間のみHOTの導入となった。

家族構成
 40歳代で夫と娘を病気で亡くしている。現在は、孫(男1人、女1人)が唯一の肉親である。孫は2人とも自身の世帯をもっている。Bさんは独居であるが、孫娘は近所に在住。Bさんは娘を亡くした際、孫はまだ学生であり、トラック長距離運転の仕事をして家計を支え、孫2人を育てた背景がある。孫娘は祖母に育ててもらったことを感謝しており、可能な限り、祖母の疾患管理に協力したいという思いをもっている。

入院時所見

 ●バイタルサイン
 心拍数103bpm(洞調律)、血圧176/101mmHg、呼吸数28回/分、SpO₂:89%(10L酸素マスク)

 ●身体所見
 浮腫なし、四肢末梢冷感+、チアノーゼ(下肢)+、全身に発汗あり、呼吸音:水疱音(coarse crackle)両側に著明にあり、意識レベル:JCS2、GSC E3V5M6

 ●Nohria-Stevensonの分類(以下、NS分類)1)
 うっ血所見(有)、低還流所見(有)wet&cold

 ●動脈血液ガス(ABG)
 pH7.036、PaCO₂:58.1mmHg、PaO₂:65.1mmHg、SaO₂:78.0%、Lac:8.6mmol/L、HCO3-:14.8mmol/L、ABE:-15.5mmol/L

 ●血液検査所見
kensa

 ●心エコーデータ
 僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation:MR)・三尖弁閉鎖不全症(tricuspid  regurgitation:TR)中等度
 下大静脈径(IVC)≒拡張(dilation)+、1RC(↓)陽圧換気下
 左室壁運動:ant-sept,apex(一部)壁運動消失(akinesis)
 post(base)…運動消失(hypokinesis)
 other…重症運動減少(severe hypokinesis)
 左心室駆出分画(LVEF)29%

 ●胸部X線写真
 心胸郭比(CTR)60%(前回退院時:52%)
 肺門部うっ血著明、急性肺水腫(flash pulmonary edema)、胸水は軽度

 ●心電図
 V1~V5:ST上昇、V1~V3:異常Q波
 身長145cm、体重41.5kg(前回退院時39.7kg)


事例アセスメント

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