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間質性肺炎の看護|分類・観察項目・看護計画など

  • 公開日: 2020/8/3
  • 更新日: 2020/7/31

目次


間質性肺炎とは

 鼻腔や口腔から取り込まれた空気は気管・気管支を通って肺に運ばれ、肺胞に達します。肺胞はブドウの房のような形状で肺に無数に存在し、肺胞の表面を通じてガス交換が行われています。この肺胞の壁の部分を間質と呼びます。
 
 間質性肺炎とは、何らかの原因で間質に炎症や損傷が起こり、線維化(壁が厚く硬くなる)を生じる疾患の総称です。線維化によりガス交換が障害され、呼吸困難を中心にさまざまな症状を呈します。

間質性肺炎の原因、分類

 間質性肺炎は、原因が特定できるものと、特定できないものとに大別されます。

原因が特定できる間質性肺炎

 原因が特定できる間質性肺炎には、主に次のようなものがあります。

疾患名 原因
薬剤性肺障害 抗がん剤、抗菌薬、抗不整脈薬、鎮痛解熱薬、抗リウマチ薬、漢方薬、サプリメントなど
膠原病肺 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症などの膠原病
じん肺 職業性曝露(アスベスト、シリカなど)
過敏性肺炎 鳥、粉塵、カビなど

原因が特定できない間質性肺炎

 原因が特定できない間質性肺炎は「特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)」と呼ばれます。IIPsは厚生労働省が定める指定難病に該当しており、6つの病型に分類されます。

【IIPsの分類】
・特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)
・特発性非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitialpneumonia:NSIP)
・呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患(respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease:RB-ILD)
・剥離性間質性肺炎(desquamative interstitial pneumonia:DIP)
・特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia:COP)
・急性間質性肺炎(acute interstitial pneumonia:AIP)

 IIPsのうち、ほとんどをIPFが占めます。

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間質性肺炎の症状、身体所見

 発症初期の多くは無症状ですが、進行すると、息切れや労作時呼吸困難、痰を伴わない乾性咳嗽が生じます。
 
 また、IPFに特徴的な身体所見として、聴診時に捻髪音が聴取されたり、手指が太鼓を叩くばちのような形状に変化する「ばち指」を認めることもあります。

間質性肺炎の検査

 間質性肺炎に対して行われる検査には、主に次のようなものがあります。

検査 特徴的な所見(IPFの場合)
胸部X線 ・すりガラス状や網状の陰影
・肺容量の減少
胸部CT ・蜂巣肺
肺機能検査(スパイロメトリー) ・拘束性障害
・拡散障害
血液検査 ・SP-A、SP-D、KL-6などの上昇

 上記のほかに、気管支内視鏡、気管支肺胞洗浄、外科的肺生検、6分間歩行試験などが必要に応じて行われ、他疾患との鑑別、間質性肺炎である場合はその種類、重症度や進行度を判断します。

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間質性肺炎の治療

薬物療法

慢性期
 IPFでは、肺の線維化を抑制し、肺活量の低下を遅らせる抗線維化薬(ピレスパ®、オフェブ®)が主に使用されます。IPF以外の間質性肺炎に対しては、ステロイド、免疫抑制薬が多く用いられます。咳や痰が認められる場合は、鎮咳薬、去痰薬などによる対症療法が行われることもあります。
 
急性期
 間質性肺炎の急性増悪に対して効果が認められた治療法はありませんが、一般的にステロイドパルス療法が行われ、症状の安定化を図ります。ステロイドパルス療法に加えて免疫抑制薬を併用したり、好中球エラスターゼ阻害薬、抗凝固薬が用いられる場合もあります。

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非薬物療法

酸素療法
 間質性肺炎の慢性期における酸素療法については、明らかな予後改善効果は認められていません。しかし、呼吸困難や低酸素血症の改善を目的として、酸素療法が行われることがあります。また、間質性肺炎の特徴として、労作時に低酸素血症を呈するケースが多いことから、労作時のみ在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)が導入される場合もあります。

呼吸リハビリテーション
 呼吸困難や運動耐容能の改善、QOLの向上を図るため、運動療法を中心とした呼吸リハビリテーションを行うことがあります。

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間質性肺炎の看護

観察項目とアセスメント

 間質性肺炎の患者さんは、呼吸困難や息切れといった主観的な症状を訴えるケースが多いため、身体所見や検査データなどを組み合わせてアセスメントを行っていきます。症状や治療に伴う不安はないか、抑うつはみられないか確認することも大切です。

主なアセスメント項目
・既往歴
・内服歴
・喫煙歴
・アレルギーの有無
・バイタルサイン
・意識状態、呼吸回数、呼吸様式
・呼吸困難感の有無、程度
・補助呼吸筋の使用の有無、努力様呼吸の有無、喘鳴の有無
・喀痰の有無、色調、粘性度、量
・胸郭の形状、胸郭運動の左右差の有無
・体位(仰臥位、起座位、側臥位)による変化があるか
・呼吸困難感に対する言動、不安の有無
・倦怠感、疲労感の有無
・体重の減少があるか
・睡眠状況、食事摂取状況
・検査データ(採血、動脈血ガス、肺機能検査)
・画像データ(XP、CT)

服薬指導

 間質性肺炎の治療に使用される薬剤には、それぞれ特有の副作用が生じます。副作用がみられる場合、投与量の減量や副作用を軽減させる薬剤の処方が必要となるため、早めに相談するよう伝えます。
 
 間質性肺炎の進行を抑えるには、状態が安定していたり、症状の改善がみられない場合でも、継続的に服薬することが重要です。自己判断で中止すると状態の悪化につながることを説明し、用法・用量を守って服用するよう指導します。

生活指導

 間質性肺炎の急性増悪は、風邪やインフルエンザをきっかけに引き起こされる場合があります。手洗い、うがいを徹底するほか、インフルエンザや肺炎球菌の予防接種を受けることも大切です。
 
 バランスのよい食事と十分な睡眠を心がけるとともに、喫煙習慣がある患者さんに対しては禁煙できるようサポートしていきます。

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間質性肺炎の看護計画

 「間質性肺炎で呼吸困難感が強い患者さん」を例に、看護計画を紹介します。
 
看護問題
#1 ガス交換障害による呼吸困難感

看護目標
・低酸素状態を改善することができる

OP(観察計画)
・バイタルサイン
・意識状態、呼吸回数、呼吸様式
・呼吸困難感の有無、程度
・補助呼吸筋の使用の有無、努力様呼吸の有無、喘鳴の有無
・喀痰の有無、色調、粘性度、量
・胸郭の形状、胸郭運動の左右差の有無
・体位(仰臥位、起座位、側臥位)による変化があるか
・喫煙歴
・アレルギーの有無
・呼吸困難感に対する言動、不安の有無
・睡眠状況、食事摂取状況
・検査データ(採血、動脈血ガス、肺機能検査)
・画像データ(XP、CT)

TP(ケア計画・援助計画)
・安楽な体位の調整
・胸式呼吸や腹式呼吸を妨げる要因の除去
・酸素消費量の増加を抑える関わり
・排痰法の実施(体位ドレナージ、スクイージング、叩打法など)
・医師の指示にもとづく酸素投与、ネブライザーの実施
・必要に応じて口腔内、気管内吸引の実施
・水分摂取の促進

EP(教育計画)
・呼吸困難感の要因について説明する
・酸素療法の必要性を説明する
・呼吸法実施の必要性について説明する
・水分摂取の必要性を説明する
・禁煙の必要性を説明する

間質性肺炎の公的支援制度

 IIPsは難病医療費助成制度の対象疾患となっています。IIPsと診断された患者さんで、重症度分類Ⅲ度以上にあてはまる場合は、医療費の補助が受けられます。ただし、重症度が一定以上に該当しない患者さんでも、高額な医療を継続することが必要な場合は、医療費助成の対象になるとされています1)

新重症度分類 安静時動脈血酸素分圧 6分間歩行時 SpO2
80Torr以上
70Torr以上 80Torr未満 90%未満の場合はⅢにする
60Torr以上 70Torr未満 90 %未満の場合はIVにする(危険な場合は測定不要)
60Torr未満 測定不要

厚生労働省:概要、診断基準等.85 特発性間質性肺炎(2020年7月29日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089948.pdf.p.6.より引用

 難病医療費助成制度以外にも、同一月(1日から月末まで)で支払う医療費が上限額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた分があとで払い戻される「高額療養費制度」などがあります。

引用・参考文献

1)厚生労働省:概要、診断基準等.85 特発性間質性肺炎.(2020年7月29日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089948.pdf
●日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会 編:特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂 第3版.南江堂,2016.