胸骨圧迫とは|メカニズム、手順を知っておこう
- 公開日: 2019/7/2
※ここでは一般的・基本的な知識や手技などを紹介しています。各施設が定めるマニュアルがある場合はそちらに従ってください。
どんな場合に行うか
胸骨圧迫は、一次救命処置(basic life support:BLS)に含まれている処置で、心停止と判断され、蘇生の必要がある場合※、人工呼吸とともに心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)として行われる手技です。
胸骨圧迫は、自発的心拍動の再開のため、もしくは電気的除細動などより高度な蘇生法につなぐために行われます。
CPRは、まず胸骨圧迫から開始し、救助者が一人の場合は応援が到着するまで、または人工呼吸用のデバイスの用意ができるまでは、胸骨圧迫のみを実施します。
※院内の心停止では、家族あるいは本人の希望により蘇生行為が不必要とされているかどうか(Do Not Resuscitate;DNR)を考慮する。
●心停止の判断
反応がなく、呼吸がみられない、または死戦期呼吸がある場合 ※呼吸が正常か判断できない場合はCPRを開始する
死戦期呼吸……心停止直後にみられることがある異常呼吸。ゆっくりとあえぐような、しゃくりあげるような呼吸。
Column JRCガイドライン2015の医療用BLSアルゴリズム
JRCガイドライン2015の医療用BLSアルゴリズムでは、医療従事者などの場合、呼吸の観察は気道確保を行った上で行い、さらに蘇生に熟練した者は呼吸を観察しながら、同時に頸動脈の拍動の有無を確認することが示されています。
ただし、脈拍の有無に自身がもてない場合には呼吸の有無の確認に専念するとも示されています。
胸骨圧迫のメカニズム
胸骨圧迫により、心臓が動いていなくても、ある程度の心拍出量(正常時の3分の1~4分の1)を得ることができます。その理由として、①胸腔ポンプ説と②心臓ポンプ説の2つの説があります。現在、「胸腔ポンプ説」が多くの支持を得ています(図1)。
この記事を読んでいる人におすすめ
気道確保|エアウェイの挿入手順と頭部後屈顎先挙上法
気道確保とは? 大気の通り道である気道(airway)の物理的な閉塞を解除する、もしくは予防する処置です。窒息を防ぎ、呼吸管理を行うために実施されます。 気道閉塞の原因はさまざまですが、よくみられるのは意識障害による舌根沈下です。 気道閉塞は生
心停止(心静止・PEA)への急変対応 6ステップ
急変に遭遇!そんなときに慌てず焦らず処置を行うには、急変対応を繰り返しおさらいしておくことが必要です。 今回は、「心停止(心静止・PEA)」という緊急度の高い事態への対応を解説します。 ステップ1 意識を確認する 心電図モニター上に心静止を発見し
【写真でわかる】気管挿管の準備と介助(患者さんの準備)
気管挿管が必要になった場合の患者さんの、体位を整えるまでの手順を説明します。 ※気管挿管に使用する物品は清潔操作で扱います ※処置時は手指消毒を行い、エプロン、マスク、ゴーグル(必要時)を装着します ※SpO2モ二ター、心電図モニターは装着している状態とします
急変時に行う「迅速評価→1次評価(ABCDE)→2次評価(SAMPLE)」とは?
急変対応に欠かせない「迅速評価→1次評価→2次評価」ついて解説します。 関連記事 ■窒息への急変対応 5ステップ ■心停止(心静止・PEA)への急変対応 6ステップ ■急変時の家族対応、7つのポイント 急変時に行う3段階の観察と評価 急変時
重症不整脈(無脈性VTとVf)のアルゴリズムと対応のポイント
急変に遭遇!そんなときに慌てず焦らず処置を行うには、急変対応を繰り返しおさらいしておくことが必要です。 今回は、無脈性の心室頻拍(VT)と心室細動(Vf)のアルゴリズムを解説します。 ▼不整脈の看護について、まとめて読むならコチラ 不整脈の看護|検査・治