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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

TNM分類

  • 公開日: 2020/1/1

1. この分類は何を判断するもの?

 TNM分類は、国際対がん連合(UICC)によって定められた悪性腫瘍の進行度を評価する指標の一つです。日本においては疾患ごとに「癌取扱い規約」が出版されていて、その中でTNM分類に準じた国内独自の評価法が示されています。

 TNM分類では、「T(tumor)因子」、「N(lymph node)因子」、「M(metastasis)因子」の3つの因子をそれぞれ価し、それらを総合して悪性腫瘍の病期(ステージ)を決定します。詳細な分類の仕方や病期決定の基準は悪性腫瘍の種類によって異なりますが、3つの因子から病期の決定を行うという根本的な考え方は共通です。しかし、腫瘍の広がりや転移の形態が特殊な脳腫瘍、腫瘍を形成しない白血病などの血液悪性腫瘍などではTNM分類は用いず、それぞれ独自の分類方法をとっています。

2. TNM分類はこう使う!

 悪性腫瘍は病期によって治療方法が異なり、判断を誤ると予後に大きな影響を与えることも少なくありません。そのため、画像検査、内視鏡検査、病理検査などの結果をもとに3つの因子を正しく評価し、病期の決定を的確に行った上で治療を開始することが大切です。


3つの因子①「T(tumor)因子」:原発腫瘍の大きさと浸潤を評価する指標。腫瘍を認めないT0から腫瘍の程度によってT1~T4に分類する

②「N(lymph node)因子」:所属リンパ節への転移を評価する指標。所属リンパ節転移を認めないN0から、転移の程度によってN1~N4のに分類する

③「M(metastasis)因子」:遠隔転移の有無を示す指標。遠隔転移がないものをM0、転移があるものをM1とする
また、TNM分類に必要な検査を行っていないなど評価不能の場合は、数字の代わりに「X」を用いて「TX」や「MX」などと表記します。

 なお、この3つの因子の詳細な分類方法は各悪性腫瘍によって異なるため、評価する際はガイドラインなどを参照する必要があります。

3. この分類を看護に活かす!

 治療方針を決定するためのTNM分類の決定は通常医師が行うため、看護師自ら検査結果をもとにTNM分類を決定する機会はないと言ってよいでしょう。

 しかし、TNM分類は患者さんの状態を把握し、予後の見通しを予測する上で大切な指標となります。つまり、患者さんのTNM分類を把握することは、症状の程度や急変の危険性などの把握につながるのです。

 また、悪性腫瘍は時間の経過とともに病状が悪化することも少なくありません。自身が把握しているTNM分類から考えて重度な症状があるときは、再発や転移などの可能性も考えて必ず医師に報告するようにしましょう。

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