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【連載】看護師のための経腸栄養講座

第4回 半固形化栄養剤(semi-solid)

  • 公開日: 2015/9/26
  • # 注目ピックアップ
  • # 経腸栄養

ポイント

1.液状栄養剤に対して、形状を変化させた栄養剤をひっくるめて、「semi-solid(半固形化)」と称する。
2.半固形化栄養剤の効果は、
 (1)胃食道逆流の予防と誤嚥性肺炎の回避、
 (2)胃瘻の漏れの防止、
 (3)便通の改善、下痢の予防、
 (4)短時間注入の効果として、体位を長時間一定にする必要がなく、褥瘡の予防、改善、
 (5)時間をリハビリやその他に有意義に使用できる、
などがあげられる。
3.半固形化栄養剤には、
 (1)液体栄養剤にゲル化剤・増粘剤を添加して調整した栄養剤、
 (2)市販の半固形化栄養剤、
 (3)粘度を調整したミキサー食、
がある。現在、10種類以上の製品が市販されており、いずれも食品扱いである。
4.半固形化栄養剤は非ニュートン流体に属し、その粘度の単位はmPa・s(ミリパスカル秒)=cP(センチポワズ)を用い表記する。


▼経腸栄養について まとめて読むならコチラ
経腸栄養(経管栄養)とは|種類・手順・看護のポイント


寒天法の登場と用語の統一

 内視鏡的胃瘻造設術(PEG)にて造設された胃瘻からの経腸栄養療法でも、胃食道逆流や誤嚥がしばしば経験されます。このような合併症を予防する目的で、蟹江による寒天を用いて栄養剤を固形化する方法が登場し、在宅を中心に短期間で本邦全域にこの方法が広く行われるようになりました。寒天法の臨床効果が逆流防止にとどまらず、多岐にわたることが観察され、寒天以外による栄養剤のゲル化、半固形化、トロミ剤による栄養剤の粘度増強などが次々と試みられるようになりました。

 このような栄養剤の工夫は、固形化、半固形化、ゲル化、ゾル化、増粘化、粘度増強などと称され、用語の面においても統一がとれず、また実際の栄養剤の粘度や固さも多種多様で、混沌とした状態となっています。このような状況を改善し、形状を変化させた栄養剤を科学的に研究する目的で、2007年に「栄養材形状機能研究会」が発足しました。研究会ではまず用語の面からの検討がなされ、通常の液状栄養剤に対して、寒天法をも含めた、形状を変化させた栄養剤をひっくるめて、「semi-solid(半固形化)」と称すると決定されました。

半固形化栄養剤の効果

 通常の液状栄養剤の注入は、胃瘻から時間をかけてゆっくり行われるため、食物の容積による胃の弛緩が起こりません。そのため正常な胃の蠕動運動が起こらず、消化吸収能にも影響することが予想されます。半固形化栄養剤では、原則的に短時間で胃内に注入されるので、通常の食物と同様に、その容積により胃の弛緩が起こり、生理的な蠕動運動が惹起され、栄養剤が逆流せずに十二指腸に順調に流れると考えられています。

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