第13回 totally implantable central venous access port:ポートについて
- 公開日: 2010/4/8
在宅静脈栄養や化学療法施行のために、ポートが非常によく用いられるようになってきています。それに伴って、さまざまな合併症の発生件数が増えています。特に化学療法を施行するためのポートにおいて合併症が多いようです。要するに、ポートのことを深く理解することなく、便利だから、という理由で見よう見まねで使っている方が多いから、こういう問題が行っているのです。
そこで、今回は、ポートについて、基本的な事柄から解説することにします。
ポートとは?
まず、ポート、ポート、と軽いタッチでこの用語を使っておられるようですが、正式な用語を知ってからこのポートという略語を使っておられるのでしょうか?英語ではタイトルに示しているように、totally implantable central venous access portで、完全埋め込み式中心静脈ポートという日本語が適しているように思います。かつては、totally implantable subcutaneous infusion portという英語が使われていたようです。日本語では、すべてを省略して『ポート』と呼ばれるようになってきました。これもかつては、『リザーバー』と呼ばれていたのです。
ここで考えておかなくてはならないのは、この器具は、カテーテルとポートから構成されているということです。
それなのにポートだけが名称として用いられていますので、使い分けが難しいことに注意が必要です。いつも気になっているのですが、カテーテルは『入れる、挿入する』のですが、ポート部分は『埋め込む』のです。不要になったり合併症が起こったりした場合は、カテーテルを『抜く、抜去する』のですが、ポートは『取り出す、摘出する』のです。こういうしょうもないことで、日本語にうるさい私はいつも悩むのです。 断面を図2に示しますが、すべて英語を日本語に訳すと、変な訳になってしまうように思います。とりあえず、カテーテルとポートから構成されていて、シリコーンゴムで作られた針を刺す部分はセプタムと呼ぶようにした方がいいと思います。内腔はinterior chamber と呼ばれますが、ま、内室と訳しましょうか?カテーテルとポートとセプタムくらいは知っておいたほうがいいと思います。
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