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【連載】人工呼吸器の基礎知識

第7回 【カフ圧管理のカギ】人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防

  • 公開日: 2009/10/5
  • # 注目ピックアップ
  • # 肺炎
  • # 人工呼吸器の設定・管理

今回は人工呼吸器関連肺炎の予防について解説します。人工呼吸器関連肺炎の発生には様々な要因が関連していますが、今回は誤嚥を予防するための「気管チューブの管理」を中心に解説します。


Q: 人工呼吸器関連肺炎(以下VAP)の主因といわれているサイレントアスピレーション(不顕性誤嚥)を予防する方法は何ですか?

A: カフ管理すなわちカフ圧管理とカフ上部吸引が大切です。

カフとは気管チューブや気管切開チューブ先端部分についている風船状のもので、パイロットバルーンと呼ばれる部分からエアーを注入して膨らませます。
カフの役割は人工呼吸中のガスリークの防止と誤嚥の防止です。気道内に留置した気管チューブのカフを膨らませることにより、気道とチューブの隙間を少なくし換気量を確保し誤嚥を予防します。しかし、カフを膨らませすぎると気管粘膜障害を起こし、逆にカフの膨らみが足りないと、誤嚥の危険性が高くなりますので適切なカフ圧管理が大切です。

カフには様々な大きさや形状があり、研究では大容量低圧カフが最もサイレントアスピレーションを起こしにくいと報告されていますが、この大容量低圧カフを用いて適切なカフ圧管理をしても誤嚥を完全に防ぐことはできません。したがってカフ上部吸引を行うことが重要です。

カフの写真

Q: カフ圧管理はどうすればいいのですか?

A: カフ圧は20cmH2O以上30cmH2O以下で管理することが推奨されています。

その理由は、30cmH2Oを超えるカフ圧は気管粘膜の血流を阻害するといわれ、一方、20cmH2O以下の低圧ではVAPのリスクが高くなるという報告があるからです。

カフ圧計の写真

カフ圧を調節する際にはカフ圧計を用います。なぜならカフに注入する空気の量は、気道の形状やカフの大きさにより異なってくるからです。またカフ圧は時間経過などにより低下することから、定期的に確認します。そのタイミングに明確な基準はありませんが、口腔ケア前後や気管内吸引、体位変換などのベッドサイドでのケアとあわせて実施されていることが多いです。

Q: カフ上部吸引とは何ですか?

A: カフの上に貯留した分泌物を吸引することです。

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