第21回 鶏眼のケア
- 公開日: 2020/12/29
今回は前回の胼胝に関連して、鶏眼=うおのめについてのケアです。
皆さんの患者さんは新型コロナ感染の影響はいかがですか?
私の周りでは外出する機会が減ったので筋肉が弱ったという方が増えました。
ですが、靴を履くことによるトラブルは少し減り良かったように感じます。
前回解説した胼胝が大きくならなかった、鶏眼の痛みが少ない等もお聞きします。
筋肉の使い方が変わったので胼胝、鶏眼の部位や程度が変わってきた方もいらっしゃいます。身体は連動しているのですね。
胼胝は身体を守る働きと摩擦によりできる
前回のおさらいですが、皮膚は、外部からの刺激から身体を守る働きをしています。
皮膚に摩擦や圧迫などの外部刺激が局所に加わり続けると、防御反応としてケラチンをたくさん作りその部位を厚くして刺激から守ろうとします。
ここに、靴などの履物の直接の刺激や圧迫、靴の中で足がずれることにより起こる摩擦が継続的に皮膚に与えられ角質が厚く硬くなり盛り上がったものを胼胝といいますという説明をしました。
1.鶏眼(うおのめ)とは?
原因は胼胝と同じ圧迫や摩擦によるもので、長期間物理的圧迫が加わって生じる角質増殖です。
誘因は不適切な履物の着用や足の変形、歩行異常などで指の背側、趾間、足底のこすれあう部位に生じます。
胼胝は面であるので痛みは少ないのですが、鶏眼は中央の角質層を含む表皮が「くさび状」に真皮に向かって増殖し、角栓状になります。これが刺激となって痛みを生じます(図1)。
図1 鶏眼
2.鶏眼のケア、予防
1、鶏眼ができる原因を取り除く。
・圧迫や摩擦を起こしている履物などの観察。・外反母趾や開張足などの変形や接触し、摩擦を起こしている部位と歩き方、全身との関連を考える。
2、保護
・痛みが少ない軽いものは市販されている保護パッドなどで摩擦、圧迫を避ける。・厚みのあるソックスで保護する。
3、肥厚した部分を削る
・肥厚が強く疼痛や日常生活に支障があるようならやすり、メス刃、コーンカッター、などで肥厚した部分を削り、圧迫を軽減する。ここまでは、痛みの少ない場合ですが、最終的には鶏眼は芯をとらなければ自然になくなることはほとんどありません。
4、鶏眼の芯をとる
・鶏眼の芯は真皮に達したものはできるなら医師に依頼して切除してもらうのが望ましいと思いますが施設等で、なかなか医師に依頼できない場合、器具を選択し、面の芯を少し取り除く処置を応急的に行う。<使用する道具の例>
①皮膚キュレット 医療器具 (1本約500円)
先端がリング状の刃になっており、芯の部分ひっかくように削ると芯を掘り出すことができる。
芯はこのように取れます。
芯を取った直後、小さな穴があきます。
②写真左 上から スコーラ、メス刃10、メス刃15、写真右 巻き爪用の爪切り
スコーラ、メス刃は芯の周囲から、円錐状にコツコツ充てるように使用します。
巻き爪用の爪切りは毛抜きでとげを挟むような感じで周囲から切り取っていきます
※鶏眼の痛みがあるということは芯の先端が真皮まで達していることが考えられます。いずれも皮膚を傷つけないよう、慎重に行いましょう。出血厳禁です!!
ある程度の経験が必要かと思います。
消しゴムにシャープペンの芯を差し込んで折るとちょうど鶏眼の芯の感じになります。それで少し練習してから実践するとよいと思います。
カテゴリの新着記事
フットケア指導に関する看護計画|糖尿病の患者さん
糖尿病の教育入院でフットケア指導が行われる患者さんに関する看護計画 糖尿病は1型と2型があり、インスリン依存性とインスリン非依存性に分類されます。血糖値が高い状態が続くことで動脈硬化が起こり血流障害が生じることがあります。その結果、足に異常が生じやすくなるため高血糖を防ぐ
アクセスランキング
心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と
心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...
【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について
血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...
吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ
*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...
採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等
採血とは 採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...
人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ
みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...
心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形
*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは 心臓には、自ら電気信...
第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、
バイタルサイン測定の意義 小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...
術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な
患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査 術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...
第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用
【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...
サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下
*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...