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【連載】スペシャリストに学ぶ! がん患者さんの皮膚障害のケア

①放射線皮膚炎の予防の考え方【PR】

  • 公開日: 2021/1/30
  • # 注目ピックアップ
  • # がんの副作用ケア

がんの放射線治療の目的は、がんの根治、転移や再発の予防や症状緩和など多岐にわたり、患者さんの状態もさまざまです。また、照射する部位によって放射線皮膚炎、口腔粘膜炎、排便・排尿障害などの有害事象が起こるため、症状と患者さんの状態に合わせたケアが必要になります。
今回は、放射線治療で起こる有害事象のなかの放射線皮膚炎について、基本的なケアの考え方や看護師がかかわる意義について解説します。


予防ケアの大切さを知ろう

 2006年頃、がん専門看護師の教育を受けていたとき、放射線治療に関するプレゼンのため国内外の文献を調べていました。そのときにかかわっていた70歳代の頭頸部がんの患者さんには放射線皮膚炎があり、そのスキンケアに携ったことで日本では放射線皮膚炎のケアをどのように行っているのかも調べました。


 国内の文献の大半は発症後のケアに関するもので、予防的ケアの文献はごくわずかでした。一方海外ではすでに予防的ケアが標準で、何を使って予防するかをターゲットにした研究が進んでいたのです。現在では、日本でも予防的ケアを実施していますが、どのように放射線皮膚炎が起こるのかを知れば、予防が大切ということがわかると思います。


放射線皮膚炎の症状とは

 放射線皮膚炎の定義と重症度のスケール(grade)は、有害事象共通用語規準(CTCAE)v5.0日本語訳JCOG版で定められています(表1)。grade 1はわずかな紅斑や乾性落屑がみとめられるもので、皮膚が乾燥するのが特徴です。grade 2は中等度〜高度の紅斑とまだらな湿性落屑、つまりびらんで、ほとんどが皺や襞に限局している場合をさします。grade 3は皺や襞以外の部分にも湿性落屑がみられるもので、少し擦るだけで出血するのが特徴です。そしてgrade 4になると皮膚全層の壊死や潰瘍がみられます。


表1 放射線性皮膚炎の定義と重症度

定義生物学的な効果を生じるレベルに達した電離放射線の曝露の結果生じる皮膚の炎症反応
grade 1
わずかな紅斑や乾性落屑
grade 2
中等度から高度の紅斑;まだらな湿性落屑.ただしほとんどが皺や襞に限局している;中等度の浮腫
grade 3
皺や襞以外の部位の湿性落屑;軽度の外傷や摩擦により出血する
grade 4
生命を脅かす;皮膚全層の壊死や潰瘍;病変部より自然に出血する;皮膚移植を要する
grade 5
死亡
有害事象共通用語規準 v5.0 日本語訳JCOG版より引用


 grade 4はこれまでに2例だけ経験したことがあります。直腸がんで局所再発した部分に放射線をあてたところ、旧肛門周囲全周が壊死し、非常に深い潰瘍を形成してしまったケースがありました。gradeは1から2、2から3へと進行していきますが、発症したあとにいくらケアを行っても放射線治療を継続している間は、治癒することは困難です。そのため、gradeが進行しないように行う予防的ケアが大切になります。


 放射線治療による皮膚障害は頭頸部や乳がんの治療で生じやすい傾向があります。頸部は皮膚がとても柔らかいこと、顔は凹凸があるため放射線を照射したときにムラが生じることなどが要因です。乳がんの場合は接線照射というがんを挟むように放射線をあてる方法などで皮膚炎が発症します。皮膚炎の起きやすさは、年齢、放射線のあて方や放射線量(表2)、併用する抗がん薬などによっても左右されます。


表2 放射線量と放射線性皮膚炎の発症の目安

0〜20Gy
20〜40Gy
40〜60Gy
60Gy〜
grade 0
grade 1
grade 2
grade 3
後藤志保:放射線性皮膚炎.がん放射線療法ケアガイド 第3版.祖父江由紀子 他,編.中山書店,2019,p.104-5.より一部引用


放射線皮膚炎予防の基本的な考え方

 外部照射では放射線が必ず皮膚を通過するため、皮膚に障害が起こりやすくなります。通常表皮では、基底細胞が分裂し、先にできた細胞が基底層から有棘層、顆粒層、角層へと押し上げられ角質になり、やがて垢となってはがれていきます。


 放射線があたると基底細胞の分裂が抑制され、数が減っていきます。その結果、徐々に表皮が薄くなり、真皮にある皮脂腺や汗腺、微小血管も影響を受けます。皮膚のバリア機能はおもに角層の皮脂膜、細胞間脂質、天然保湿因子の働きによって維持されていますが、放射線によってこれらが障害され、バランスが崩れて皮膚の乾燥が起きます。微小血管は放射線の影響により浮腫や炎症を起こし、発赤やびらんが発生します。これが放射線皮膚炎発症のメカニズムです。


 放射線皮膚炎は乾燥から起こるため、皮膚の乾燥を最小限にすること、つまり保湿が予防的ケアとなります。放射線によって基底細胞が減少することによる影響を最小限にとどめることが重要です。保湿の基本は水分と油分を皮膚に補うことです。


看護師は患者さんの病態と生活をつなぐ

 当院では、放射線治療医師や診療放射線技師、頭頸部がんでは耳鼻科や口腔外科の医師もみな協力的でチームでケアにあたっています。その中で看護師は、患者さんに起きている皮膚障害という病態とその人の生活を繋ぐ役割を担っていると思います。スキンケアを指導する際にも、単にこういうケアをしてくださいと言うのではなく、その人の保湿剤の塗り方、保湿剤を塗ったあとどのような服を着ているのかなど、日常の行動の中で患部の皮膚がどのように守られているのかを確認し、それをケアにつなげることが大切です。ここに看護師が介入する意義があると思います。


 放射線皮膚炎の予防に看護師が積極的にかかわった結果、皮膚障害が本当に減ったと思います。grade 1または1と2の間くらいの皮膚障害は発症しますが、grade 3への移行はかなり抑えられています。


 放射線皮膚炎の予防的ケアは、病棟内、院内で統一される必要があります。勤務交替で引き継がれず、スキンケアが継続されないといった事態にならないようにしなければなりません。そのため、スタッフ用のマニュアルや患者さん向けのパンフレットなどを作成し、統一されたケアが実践されるようにしています。


引用・参考文献

1)有害事象共通用語規準 v5.0 日本語訳JCOG版(2020年12月8日閲覧)http://www.jcog.jp/doctor/tool/ctcaev5.html
2)後藤志保:放射線性皮膚炎.がん放射線療法ケアガイド 第3版.祖父江由紀子 他,編.中山書店,2019,p.104-5.




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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ


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薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/

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