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<オンラインセミナー>がん治療における皮膚障害のケアに強くなろう!【PR】

  • 公開日: 2021/5/14
  • # 注目ピックアップ
  • # がんの副作用ケア
  • # その他皮疹・皮膚障害

2021年2月18日・24日に第一三共ヘルスケア・ナース専科共催セミナー「がん治療における皮膚障害のケアに強くなろう! <基本編><実践編>」が開催されました。


<基本編>ではがん治療における皮膚障害がなぜ起こるのか、そのメカニズムや種類、予防法について紹介され、ケアの基本を学びました。<実践編>では重症化した皮膚障害のケアについて、対処法や皮膚科受診のタイミングが紹介され、ケアのポイントについて実践を交えて学びました。


今回は、講演のなかから知っておきたい基礎知識やケアのポイントを紹介します。


がん治療における皮膚障害のケアに強くなろう! 【基本編】

なぜ起こる? 皮膚障害のメカニズムについて知ろう
がん研有明病院 皮膚腫瘍科・皮膚科 医長 西澤 綾 先生

西澤綾 先生


 近年、がんに対する治療薬の開発が進み、多くの患者さんが抗がん薬治療を受けるようになってきています。抗がん薬治療に用いられる薬剤は、従来の抗がん薬である細胞障害性抗がん薬のほか分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬、ホルモン薬があります。抗がん薬治療や放射線治療では副作用を生じるため、その管理が必要になってきます。副作用のなかには皮膚障害もあり、生命を脅かすものはまれですが、重症化すると抗がん薬の減量や休薬などで対応することもあります。


皮膚障害のメカニズム

①細胞障害性抗がん薬による皮膚障害

 細胞障害性抗がん薬は、細胞が分裂して増える過程に直接または間接的に作用し、がん細胞を攻撃する薬剤です。細胞増殖が盛んな細胞を障害するため、がん細胞だけでなく正常な細胞まで攻撃してしまい、皮膚や粘膜に障害が起こります。


 一番頻度が高い皮膚障害が発疹・紅斑ですが、そのほかに皮膚乾燥、掻痒、脱毛、色素沈着、爪甲の変化、手足症候群などが生じます(表1)。


表1 細胞障害性抗がん薬で起こる皮膚障害の種類とメカニズム
皮膚障害
メカニズム
発疹、紅斑
・細胞分裂の活発な表皮細胞がダメージを受け、表皮の角質層が薄くなり、外的刺激に弱くなる
・汗腺や皮脂腺も影響を受けやすく、分泌が少なくなりバリア機能が低下する
・微量な薬剤が血管から排出した影響も考えられている
・薬剤の使用中止により軽快する
皮膚乾燥、掻痒
・表皮細胞がダメージを受け、角質層の菲薄化、皮脂腺・汗腺の分泌低下により、皮膚が乾燥する
・皮膚のバリア機能の低下により、刺激に敏感になり、かゆみも生じる
・薬剤の中止により軽快する
脱毛
・成長期の毛母細胞が障害を受け、成長せずに短いままで抜け落ちてしまう(成長期脱毛)
・投与後数日〜4週で症状が現れ、治療終了後約1~2月で髪が生えてくるが、髪質の変化や部分的脱毛が残ることがある
色素沈着
・明確な機序は不明だが、皮膚の基底細胞の細胞分裂・増殖が障害されたり、表皮のメラノサイト(メラニンを生み出す細胞)が活発になることで起こると考えられる
・おもに顔面や四肢末端、関節部、爪甲に生じる
・治療終了後、数カ月で改善がみられることが多い
爪甲の変化
・爪甲周囲の皮膚の血管の変性、神経障害により、爪甲剥離、爪甲下に紅斑、爪甲下出血などが生じる
・爪母細胞へのダメージにより治療終了後も爪の変形が残ることがある
手足症候群
・抗がん薬による表皮細胞への直接的・間接的障害に、外的な刺激が加わって発症・増悪する
・エクリン汗腺からの薬剤分泌、フルオロウラシルの分解産物の関与、毛細血管が破壊されて抗がん薬が微量に漏れることで生じると考えられる
・手と足に好発する病変で、特に手掌、足底に紅斑、腫脹、過角化、色素沈着などを生じることを特徴とする
・休薬・減量、中止で比較的速やかに軽快する


②分子標的薬による皮膚障害

 分子標的薬はゲノム・分子レベルでがん細胞の特徴を認識し、がん細胞の増殖・転移に関係する特定の分子だけを攻撃する薬剤です。その標的ががん細胞のほかに表皮にも発現しているものでは、皮膚障害が生じます。高頻度に皮膚障害が生じる薬剤にはEGFR阻害薬とマルチキナーゼ阻害薬があります。


 表皮細胞ではEGFRが高発現しており、それにEGFR阻害薬が結合することで皮膚障害が起こります。ざ瘡様皮疹は皮膚障害のなかで最も早期に出現し、投与後1週以降に発現、その後徐々に軽快していきます。投与より3~5週経過すると皮膚乾燥が生じ、爪囲炎は4~8週から発現し、長期に持続する傾向があります。


 マルチキナーゼ阻害薬は、細胞が増殖するために必要な種々のチロシンキナーゼを阻害し、シグナル伝達を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。多種のチロシンキナーゼを阻害するため副作用はさまざまで、皮膚障害としては手足症候群、発疹などが出現します。


③免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害

 免疫チェックポイント阻害薬は、自分自身の免疫にはたらきかけてがん細胞を排除させる薬剤です。時にその免疫機能が過剰にはたらき正常細胞も攻撃してしまい、自己免疫疾患のような有害事象が起こります。この免疫関連有害事象(irAE)はいろいろな臓器でみられ、皮膚にも生じます。尋常性乾癬や白斑などがみられますが、ほとんどが軽度で可逆性、マネージメント可能ですが、5%未満とごくまれに休薬が必要なGrade 3以上の高度なものが生じます。


④放射線治療で起こる皮膚障害

 放射線は皮膚を通過して病巣に達するため、照射された部位の皮膚は放射線の影響を受けます。表皮最下層の基底細胞は細胞分裂が盛んで、放射線照射により影響を受けやすく炎症が生じます。


 皮膚症状としては、乾燥、掻痒、ヒリヒリとした刺激症状、発赤、色素沈着、表皮剥離、潰瘍などがみられます。


皮膚障害の種類と予防

 抗がん薬には皮膚障害を起こしやすい薬剤と特徴的な皮膚症状があります。皮膚障害を起こしやすい薬剤について表2にまとめました。


表2 おもな抗がん薬と皮膚障害の種類
種類
おもな薬剤
発疹、紅斑 フルオロウラシル、シタラビン、シスプラチン、ブレオマイシン、リポソーム化ドキソルビシン、エトポシド、ブスルファンなど
皮膚乾燥 カペシタビン、ティーエスワン、パクリタキセル
皮膚掻痒 フルオロウラシル、カペシタビン、エピルビシン、パクリタキセル、ブスルファン、シスプラチン
色素沈着 フルオロウラシル、カペシタビン、テガフール、ドキソルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、シスプラチン
爪甲の変化 フルオロウラシル、カペシタビン、テガフール、ドセタキセル、パクリタキセル
手足症候群 フルオロウラシル、カペシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、リポソーム化ドキソルビシン、エトポシド
皮膚硬化 パクリタキセル、ドセタキセル
脱毛 【高度】シクロホスファミド、イホスファミド、エトポシド、ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、エピルビシン、イリノテカン
【中等度】カルボプラチン、ビンクリスチン、メトトレキサート
【軽度】シスプラチン、フルオロウラシル、ゲムシタビンなど


 抗がん薬治療や放射線治療には、高率に皮膚障害が生じるものもあります。皮膚障害の発症メカニズムを理解すると、それに基づいた予防、悪化防止を行うことができます。がん治療が始まる前に、あらかじめ患者さん自身が副作用を予防、早期発見できるように指導し、適切なケアを継続できるようにしておくことが理想です。


 どのような皮疹に対しても、予防として健常な皮膚を保つことが重要です。薬剤により発症しやすい皮膚障害・時期を患者さんに説明し、皮膚障害を早期に発見するための確認部位や予防方法をアドバイスします。適切にアドバイスするためには、患者さんの皮膚状態、生活習慣や仕事内容、日常的なスキンケアの方法などを、治療開始前に事前にチェックしておきましょう。


がん治療で生じる皮膚障害へのケアの基本を学ぼう
都立多摩総合医療センター がん化学療法看護認定看護師 春藤 紫乃 先生

春藤先生


 がんの治療において、患者さんに得るべき利益をもたらし、予定されている治療を完遂するためには、看護師の役割として、安全な治療を提供し、治療に伴う苦痛を最低限におさえ、患者さんが安心して治療を受けられるよう支援することが求められています。


 がんの治療で生じる皮膚障害の代表的なものとして、手足症候群、ざ瘡様皮疹、爪囲炎などがあります。基本編では、これらの皮膚障害へのケアの基本について解説します。基本的に皮膚のケアというのはスタンダードなものがあり、がん治療で生じる皮膚障害のケアにおいても、そこから外れることはありません。皮膚障害はボディイメージへ影響し、症状が強くなるとQOLは低下し、治療継続への意欲も低下します。症状が強くなる前に対処していくことが重要です。


皮膚障害へのケアの基本

 抗がん薬の作用により、皮膚はバリア機能が低下し、正常な機能を維持できなくなっています。皮膚の弱くなった部分を補うためのケアの基本は、「保清」と「保湿」です。この2つはすべてのケアにおいて重要であり、絶対に外せません。


 保清では「洗浄」が重要です。洗浄は皮膚を刺激しないように行い、汚れを落とすだけでなく保湿剤や外用薬をしっかり落とすことが大切です。1日1回以上は洗浄剤を使用して洗い、顔は朝と寝る前の2回洗えるとベストです。石けんは泡立てて使い、石けんの成分はしっかり洗い流します。お化粧をしている場合は、刺激の少ないメイク落としを選択します。洗浄の注意点としてはゴシゴシこすらない、刺激の強いナイロンタオルや熱いお湯は使わないようにすることです。


 保湿については、入浴や手洗い後、10分以上経過すると皮膚が乾燥し始めるため、できるだけ早く保湿剤を塗ることが効果的です。ざ瘡様皮疹が出現してからも保湿は重要で、副腎皮質ステロイド外用薬に加え、ベースとして保湿剤を使い、皮膚が潤った状態を保ちます。手は洗う機会が多いため、洗うたびに保湿剤を塗ることを推奨してください。


 保湿剤はアルコールの入っていない、低刺激のものがよいとされていますが、「しみる」「ひりひりする」などの症状がなければ、日常使用しているものでもかまいません。患者さんが使ってみて心地よい、使いやすいものを選んでもらうことが、継続につながります。


皮膚症状に対する実際のケア

①ざ瘡様皮疹に対するケア

 皮疹が小さく、少ないうちは気づかない場合もありますが、患者さんには「赤いポチポチが1、2個でき始めたら、その部分にステロイド外用薬を塗ってください」と説明します。


 ステロイド外用薬を使用し始めても保湿剤や化粧水と併用する必要があり、ステロイド外用薬をつける前に、保湿剤や化粧水でしっかり皮膚を保湿し、ステロイド外用薬の上から日焼け止めやお化粧をします。症状がひどいところには、ステロイド外用薬の重ねつけをします。


 部位により皮膚の厚さが違い、薬の吸収率が異なるため、ステロイド外用薬は部位により、強度を変えて処方されます。顔にはmediumといわれる中程度のものを、体幹や指趾にはstrongからvery strongの強いものを使うことが多いです。


②皮膚乾燥、爪囲炎に対するケア

 強い皮膚乾燥や爪囲炎にもステロイド外用薬を使うこともあります。


 また爪囲炎は、爪のわきの腫脹が強くなってきたときに爪の切り方やテーピング法で、爪が皮膚にくい込まないように対処します。さらに保湿と同時に、ステロイド外用薬を塗ることが大切です。特に腫れていると十分に洗浄されていないことが多く、腫れているところのすき間に汚れや滲出液がたまっていることがあります。そこをよく洗って汚れを落としてから、ステロイド外用薬を塗ってしっかり浸透させていきます。


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