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おむつ交換|手順、交換頻度、観察項目

  • 公開日: 2021/12/29

目的

 おむつは、トイレやポータブルトイレでの排泄ができない人や失禁のある人に対して、必要に応じて使用します。おむつは大きくアウターとインナーに分類され(表1)、アウターと呼ばれるものは、テープタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、2WAYパンツタイプ紙おむつ、ホルダーパンツがあります。インナーは、尿取りパッドと軟便パッドがあります。

表1 おむつの分類
アウター テープタイプ紙おむつ サイドをテープで留めて固定するタイプの紙おむつ
パンツタイプ紙おむつ
下着のパンツの形になっている履くタイプの紙おむつ
2WAYパンツタイプ紙おむつ
パンツのように履くこともでき、テープによって取り外すこともできる紙おむつ
ホルダーパンツ 布製で吸収体はなく、尿取りパッドと併用して使用する
インナー 尿取りパッド
軽失禁用から多量を吸収できるものまで、さまざまなタイプのものがある。男性用・女性用と分かれているものもある
軟便パッド
泥状便や水様便を吸収できるパッド

 紙おむつは単体で使用する場合とアウターとインナーを組み合わせて使用する場合があります。選択する際には、患者さんが寝たきりなのか、夜間だけ必要となるのか、軽失禁があるのかといったことを考慮してアウターを選択し、必要に応じて尿取りパッドを併用するかどうかを検討します。

 また、在宅で使用する場合は訪問介護などを含めた介護力や患者さんの生活に合わせて選択します。

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おむつ交換の手順

 ここでは、院内で行うテープ止め紙おむつの交換について紹介します。

準備する物品

  • ディスポーザブル手袋
  • ビニールエプロン
  • テープタイプ紙おむつ
  • おしりを拭くもの(ウエットティッシュやトイレットペーパーなど)
  • 廃棄物入れ
  • 交換の手順

    1 おむつを左右に引っ張りギャザーを立たせる
    ギャザーは横漏れを防止するためのものです。ギャザーをしっかり立たせるようにしましょう。

    2 患者さんにおむつを交換することを伝え、カーテンを閉める

    3 手袋を装着する

    4 患者さんを仰臥位にし、おむつのテープを外し、おむつを広げる

    5 排泄量や性状を確認する

    6 ウエットティッシュやトイレットペーパーで陰部の汚れを拭き取る
    陰部洗浄はおむつ交換ごとに行うのではなく、1日1回程度とします。

    7 おむつを丸めて大腿の間にまとめたあと、患者さんを側臥位にしておむつを腰部まで丸め、臀部をずらして抜き取る

    8 廃棄物入れにおむつを捨てる

    9 臀部の皮膚の状態を確認し、ウエットティッシュやトイレットペーパーで汚れを拭き取る

    10 手袋を新しいものに交換する

    11 側臥位のまま、おむつが患者さんの身体の中心にくるように当てて、おむつの下側を患者さんの身体の下へしっかりと入れ込む

    12 テープが適切な位置にあるかを確認し、調整する

    13 患者さんを仰臥位にする

    14 鼠径部にギャザー部分を入れ込む

    15 おむつの中心が臍の位置になるように調整する

    16 おむつと身体の間に余裕をもたせてテープを留める
    おむつと身体の間に手のひらが入るくらいの余裕をもたせるようにします。鼠径部を締めすぎないように注意します。

    【おむつ+尿取りパッドの交換についてはこちら】
    おむつの交換(おむつ+尿取りパッド)の手順とポイント

    【パンツタイプの交換についてはこちら】
    おむつの交換(パンツタイプ)の手順とポイント

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    交換の時間間隔・頻度

     交換の間隔や頻度は使用しているおむつの吸収量がどれくらいなのかによって変わります。おむつの使用を始める前に、排尿日誌をつけて患者さんの排尿パターンを把握します。排尿パターンを把握したら、どれくらいのタイミングで交換ができるのかマンパワーを考慮して、おむつや尿取りパッドなどを選択します。また、例えば入院中は2時間に1回交換が可能だったとしても、在宅療養となった際に同じように交換することは難しい場合がほとんどです。そのため退院時には、吸収量の多いものに変更するなどを検討します。

     紙おむつと尿取りパッドを併用している場合は、紙おむつの吸収量+尿取りパッドの吸収量ではなく、尿取りパッドのみの吸収量で考えます。

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    観察項目

     おむつ交換時には、排泄量や性状、漏れなどがないかと皮膚の状態を確認します。また、鼠径部が締め付けられすぎていなかったかといったことも見ます。

     おむつ交換後は、尿取りパッドを使用している場合は位置がずれていないかを確認しましょう。テープタイプの紙おむつではテープを締め付けすぎていないか、アウターが鼠径部に食い込んでしまっていないかも確認します。

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    皮膚トラブル

     おむつをしていることで起こるムレや排泄物の付着は、皮膚トラブルのリスクとなります。皮膚の浸軟はないか、特に仙骨部は褥瘡の好発部位でもあるため、発赤がないかどうかを確認しましょう。患者さんが痒みを訴えている場合は、その部位も見るようにします。また、尿や便が皮膚に接触することで起こる失禁関連皮膚炎(IAD:Incontinence-Associated Dermatitis)にも注意が必要です。排泄物が付着する範囲の皮膚の状態をよく観察するようにします。

     発赤や痒みがあり、褥瘡やIADではない場合には真菌感染も疑います。疑いがある場合は、皮膚科の医師に診断してもらい、抗真菌薬を処方してもらいます。

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    感染対策

     交換する人の感染対策として、交換前に手指衛生と手袋、エプロンを装着します。交換したおむつは密閉した状態で廃棄しましょう。交換後も手指衛生を忘れないようにします。

    留意点

     おむつは、排尿パターンと在宅であれば介護力を考慮して決めます。日中よりも夜間の尿量が多くなることもあるため、日中と夜間で尿取りパッドの吸収量を変えるなども検討します。また、尿取りパッドを2枚つけるなどの重ね付けは基本的にはしないようにします。

     皮膚トラブルが起こらないようにするためには、スキンケアも欠かせません。皮膚の浸軟が見られる場合は、皮膚保護剤を塗布して保護しましょう。おむつの素材に対してアレルギーを起こすこともあるため、皮膚トラブルを発見したら原因を探り、対処しましょう。おむつ交換のたびに陰部洗浄は必要ありません。1日1回程度にとどめ、それ以外はウエットティッシュなどで拭き取るようにします。洗浄しすぎることでドライスキンとなり、スキントラブルを招く可能性もあります。

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    看護計画(看護問題)

    「おむつをしていて失禁関連皮膚炎を発症している患者さん」を例に看護計画を紹介します。

    失禁関連皮膚炎に関連した看護問題

    #1 感染リスク状態
    #2 安楽障害

    看護目標

    ・感染を起こさない
    ・失禁関連皮膚炎に対するケアを通して苦痛が緩和できる

    O-P
    ・皮膚状態(発赤・びらん・潰瘍・水泡・浮腫など)
    ・皮膚損傷部位
    ・滲出液の有無、性状、量
    ・排泄回数、パターン
    ・失禁の有無、頻度
    ・便の性状
    ・食事摂取量
    ・飲水量
    ・バイタルサイン
    ・血液データ
    ・疼痛や掻痒感の有無と程度
    ・ADL
    ・セルフケア能力の程度

    T-P
    ・陰部洗浄(毎日及び汚染ごと)
    ・患者さんの皮膚状態に応じたスキンケア用品の選択
    ・皮膚保護材の使用、貼り換え
    ・排便コントロール
    ・バルンカテーテル留置
    ・整腸剤の調整
    ・ADLや排泄パターンに合わせたトイレ誘導
    ・食事摂取量が維持できる食事形態や補助食品の検討

    E-P
    ・皮膚炎の原因を患者さんやご家族に説明し、ケアへの協力を得る
    ・失禁時は速やかに知らせていただくよう説明する
    ・服薬指導
    ・陰部洗浄後のスキンケアについて指導する


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