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【連載】テーマごとにまとまった記事が読める! まとめ記事

導尿の看護|手順やカテーテルの種類など

  • 公開日: 2021/11/29
  • 更新日: 2024/9/27

*2024年9月27日改訂

導尿とは?

 何らかの原因で自力での排尿が困難な場合、尿道口からカテーテルを挿入し、人工的に尿を排出させることを導尿といいます。

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導尿の目的

・尿閉の解除・鑑別
・尿量・残尿測定
・水分出納の管理
・薬剤の注入

導尿の種類

 導尿は、持続的導尿(膀胱留置カテーテル)と間欠的導尿(清潔間欠自己導尿)の大きく2つに分けられます。

持続的導尿(膀胱留置カテーテル)

 膀胱内にカテーテルを留置し、持続的に尿を排泄させる方法です。急性尿閉や水腎症を来した慢性尿閉、全身管理が必要な重症患者さん、全身麻酔下の手術を受ける患者さん、骨折した患者さんなどで用いられます。

 カテーテルを長期にわたり留置すると、尿路感染や出血、膀胱萎縮などのリスクが高まり、QOLの低下を招きます。そのため、『男性下部尿路症状・前立腺肥大診療ガイドライン』では、「短期の留置以外は間欠自己導尿など他の治療が困難な場合にのみ適応とされる」としています1)。安易な実施は避けるとともに、カテーテルを留置する必要がなくなった場合は、速やかに抜去することが重要です。

間欠的導尿(清潔間欠自己導尿)

 一定時間ごとにカテーテルを尿道口に挿入し、尿を排泄させる方法です。患者さんに意欲があり、認知機能や巧緻性に問題がなければ、患者さん自身で行うことができます。これを清潔間欠自己導尿といいます。

 間欠的導尿は、尿閉や無尿など排尿困難を認める場合、残尿測定や尿閉の鑑別が必要な場合のほか、薬剤を注入するために実施されることもあります。持続的導尿と比べて尿路感染のリスクが低く、腎機能や膀胱機能の早期回復に有用2)、3)な点がメリットとして挙げられます。

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カテーテルの種類、太さ、交換時期

膀胱留置用カテーテル(バルーンカテーテル)

 膀胱留置用のカテーテルはバルーンカテーテルとも呼ばれ、さまざまな材質、形状、太さがあり、患者さんに合わせて選択されます。一般的に使用されているのは、バルーン固定液容量が5~10mLの2wayタイプのフォーリー型カテーテルで4)、太さは14~18Frが適切5)とされています(女性では14~16Frが推奨されている6))。カテーテルが太くなるほど患者さんの苦痛が大きくなるばかりでなく、太いカテーテルは尿道粘膜を圧迫して虚血を誘発し、合併症のリスクも高まります。

 カテーテルの交換頻度は患者さんにより異なりますが、『尿路管理を含む泌尿器科領域における感染制御ガイドライン(改訂第2版)』では、「閉塞が起こった場合、またはその兆候がある場合、閉鎖式導尿システムが破綻した場合、症候性尿路感染症が発症した場合等に適宜交換する」としています7)。これらに該当しない場合は、1カ月を超えないように交換するか、添付文書の記載どおりに交換するのが一般的です。

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自己導尿用カテーテル

 自己導尿用のカテーテルは、再利用タイプと使い捨てタイプの2種類に分けられ、どのタイプのカテーテルを使用するかは、患者さんのQOLや経済事情などを踏まえて検討されます。

 再利用タイプは、導尿後に水道水でカテーテルを洗浄し、消毒液を入れた専用容器に収納して繰り返し使用します。耐久性に優れ、車いすに乗った状態でも処理がしやすいよう工夫されている(延長コードを付属)ものもあります。

 使い捨てタイプは、1回ごとに廃棄するため洗浄などの手間がかかりません。親水性コーティングが施されている製品では潤滑剤を別途準備する必要がなく、コンパクトに設計されたものもあり持ち運びにも便利です。ただし、耐久性に欠けるほか、外出時は導尿の回数分のカテーテルを持ち歩く必要があります。

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自己導尿用カテーテルの種類と選択|排尿ケアに必要な看護技術

導尿の手順(膀胱留置カテーテルキットを使用した場合)

必要物品

◆膀胱留置カテーテルキット(なければ下記物品を準備)
・バルーンカテーテル
・蓄尿バッグ
・鑷子
・綿球:3個
・消毒液
・ガーゼ
・潤滑剤
・蒸留水:10mL
・注射器:10mL
・固定用テープ
・滅菌手袋
タオル数枚
◆処置用シーツ
◆医療者の準備
・手袋
・エプロン
・マスク
・ゴーグル

手順

①必要物品を準備する

②患者さんに説明を行い、同意を得る

③ベッドサイドに必要物品を準備し、プライバシーが保てるよう環境を整える

④患者さんの体位を整え、露出が最小限となるよう脚はタオルで覆う

★Point:女性は開脚し、膝を立てた状態をキープしてもらう

⑤導尿キットを開封し、滅菌手袋を装着する

⑥蓄尿バッグのコックが閉じているか確認する

⑦カテーテルを取り出し、潤滑剤を先端から6cm程度まで塗布する

⑧綿球を消毒薬に浸す

⑨尿道口を消毒する(図1)。陰部を把持した手は離さない

★Point:男性の場合、尿道口から外側に向かって、円を描くように消毒する。女性の場合、両側小陰唇(左右どちらからでも可)→尿道口の順に消毒する。前から後ろに向かって消毒し、綿球は1回使用するごとに交換する

図1 陰部の消毒

⑩カテーテルを挿入する(図2)

★Point:挿入時に患者さんが力まないよう深呼吸を促す
★Point:男性の場合、陰茎を上向きにした状態でゆっくり15cm程度挿入する。ある程度挿入すると抵抗を感じるので、そのタイミングで陰茎を寝かせ、さらに5cm程度カテーテルを挿入する。女性の場合、利き手とは反対の手で陰唇を押し広げて尿道口を露出させ、カテーテルを4~6cm程度挿入する

図2 カテーテルの挿入

⑪尿の流出を確認したら、さらに2~3cm程度カテーテルを進め、蒸留水を注入してバルーンを膨らませる

★Point:尿の流出を確認した段階では、カテーテル先端はまだ尿道内に留まっている可能性があり、この状態でバルーンを膨らませると、尿道損傷を引き起こすおそれがある。カテーテル先端を確実に膀胱内へ挿入するため、尿の流出を確認したあと、さらに数cm程度挿入する必要がある

⑫カテーテルが抜けないか、軽くテンションをかけて確認する

⑬カテーテルを固定する

★Point:男性は陰茎が上向きになるよう下腹部に、女性は大腿に固定する

⑭蓄尿バッグを患者さんの膀胱よりも低く、床に接地しない位置にかける

★Point:膀胱よりも下の位置にかけることで尿の逆流を防ぐ。また、蓄尿バッグを床に付いた状態で設置すると、逆流防止弁が汚染され、尿路感染症つながるおそれがある

⑮患者さんの寝衣を整え、状態観察後退室する

⑯必要物品を片付ける

⑰記録する

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自己導尿の指導

男性の場合

 陰茎を上方に向けてまっすぐにして持ち上げ、尿道口にカテーテルをゆっくり挿入していくように説明します。カテーテルが球部尿道と前立腺部尿道を通るときに抵抗を感じますが、身体の力を抜き、深呼吸をしながらゆっくり挿入していくようアドバイスするとよいでしょう。

 ただし、無理に挿入すると尿道が損傷し、出血を来すおそれがあります。尿道内にカテーテルを挿入しにくい場合は無理に進めようとせず、医師や看護師に相談するよう伝えます。

女性の場合

 女性は尿道口が見えにくく、尿道口と膣が近いところにあります。そのため、尿道口の位置を正しく理解してもらうことが重要です。患者さんに指を膣に当ててもらい、膣の位置を認識してもらいます。さらに、カテーテルが挿入された状態の尿道口を指で触れてもらい、膣と尿道口の位置を理解できるように指導します。

 慣れるまでは鏡を見ながらカテーテルを挿入することもありますが、何度か繰り返すうちに、鏡を用いずに挿入できるようになります。

導尿による痛みや違和感がある場合

 カテーテル挿入時に痛みや違和感などが起こることがあります。多くの場合、カテーテル挿入に慣れるにつれ改善していきますが、カテーテルの太さが合っていない場合や、挿入時に尿道を傷つけてしまうなどトラブルが生じている可能性も考えられます。気になることがあれば、すぐに相談するよう伝えます。

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自己導尿指導|排尿ケアに必要な看護技術

導尿の観察項目

・尿の性状(尿混濁、浮遊物、血尿)
・発熱
・浮腫
・尿道口の発赤
・下腹部の違和感
・下腹部痛
・陰部の掻痒感・不快感
・排尿痛
・頻尿
・残尿感

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看護計画

「脳梗塞による排尿障害で持続的導尿となった患者さん」を例に看護計画を紹介します。

看護問題
#1 感染ハイリスク状態
#2 カテーテル留置による活動制限
#3 排尿活動の変化に伴うQOLの低下

看護目標
・感染を起こさない
・カテーテル管理ができる
・ADLが維持できる
・患者さんがカテーテル留置を受け入れ、よりよい社会生活を送ることができる

観察計画(O-P)
・バイタルサイン
・尿量(時間尿、24時間尿)
・尿の性状(浮遊物や混濁の有無、色の変化)
・尿漏れの有無
・陰部の状態(発赤・亀裂・潰瘍・分泌物の有無)
・固定部位の皮膚状態
・腹部症状(下腹部痛、残尿感)
・食事摂取量
・水分量
・検査データ(WBC、CRP、尿沈渣)
・不安やストレスの有無

ケア計画・援助計画(T-P)
・カテーテル管理(カテーテル屈曲防止・畜尿バックの位置調整)
・固定テープの貼り換え
・体位の調整
・保清
・羞恥心への配慮
・傾聴

教育計画(E-P)
・カテーテル挿入の必要性を説明する
・カテーテル挿入に伴う感染リスクを説明する
・カテーテルの管理方法を説明する

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感染リスクに対する看護計画|尿路感染症のリスクのある患者さん

引用・参考文献

1)日本泌尿器学会 編:男性下部尿路症状・前立腺肥大診療ガイドライン.リッチヒルメディカル,2017,p.157.(2021年11月25日)https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/27_lower-urinary_prostatic-hyperplasia.pdf
2)Pettersson-Hammerstad K, et al:Impaired renal function in newly spinal cord injured patients improves in the chronic state–effect of clean intermittent catheterization? J Urol 2008;180(1):187-91.
3)Ghalayini IF, et al.:A prospective randomized trial comparing transurethral prostaticresection and clean intermittent self-catheterization in men with chronic urinary retention. BJU Int 2005;96(1):93-7.
4)日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会 編:がん患者の泌尿器症状の緩和に関するガイドライン 2016年版.金原出版,2016,p.61.(2021年11月25日閲覧)https://www.jspm.ne.jp/guidelines/urology/2016/pdf/urology01.pdf
5)岡村菊夫,他:高齢者失禁ガイドライン.平成 12 年度厚生科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)事業,p.28-9.https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/guidelines.pdf
6)Yasuhiko Igawa,et al:Catheterization:possible complications and their prevention and treatment Int J Urol. 2008;15(6):481-5.
7)日本泌尿器科学会 尿路管理を含む泌尿器科領域における感染制御ガイドライン作成委員会,編:尿路管理を含む泌尿器科領域における感染制御ガイドライン(改訂第2版).2021,メディカルビュー.p.46.(2024年9月25日閲覧) https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/42_infection_control_guidelines.pdf
●日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部:医療事故情報収集等事業 第31回報告書 (平成24年7月~9月).p.130-3.(2024年9月25日閲覧) https://www.med-safe.jp/pdf/report_31.pdf
●日本泌尿器科学会 泌尿器科領域における感染制御ガイドライン作成委員会,編:泌尿器科領域における感染制御ガイドライン.(2024年9月25日閲覧) https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/12_infection_control_urology.pdf
●日本排尿機能学会,他編:女性下部尿路症状診療ガイドライン(第2版).リッチヒルメディカル,2019.(2021年11月25日閲覧)https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/38_woman_lower-urinary_v2.pdf
●日本小児ストーマ・排泄・創傷管理研究会 広報活動支援委員会:自己導尿について 2020年作成.(2021年11月25日閲覧)http://pedwoc.umin.ne.jp/pdf/selfCatheterization.pdf
●高野八百子:ICTとしての感染対策.院内感染対策講習会Q&A,日本感染症学会.(2024年9月24日閲覧) https://www.kansensho.or.jp/sisetunai/kosyu/pdf/q037.pdf

イラスト/早瀬あやき

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