【連載】術後疼痛管理のQ&A! 皆さんの疑問にお答えします!
令和4年度診療報酬改定で「術後疼痛管理チーム加算(A242-2)」が新設! 要件を知っておこう!
- 公開日: 2022/5/30
Q チームで術後疼痛管理を行うと加算が取れるって本当?
A はい、要件を満たせば取れます。
術後疼痛管理チームは、麻酔科医師、看護師、薬剤師の3名以上で構成
令和4年度診療報酬改定で「術後疼痛管理チーム加算(A242-2)」が新設され1日100点(1000円)の加算がつくようになりました。急性期病院で、麻酔科医師が中心となった多職種で構成されたチームで全身麻酔後の患者さんへ質の高い術後疼痛管理を実施した場合に限られます。以下、算定を取るための要件を平易な表現でまとめました(詳細は参考資料)。
算定対象
全身麻酔後で、硬膜外麻酔や神経ブロックで局所麻酔薬の持続注入または麻薬持続静注(IV-PCAなど)中の患者さん。加算は手術翌日から3日間まで可能(最大3000円)です。
チームメンバー
職種:麻酔科医師、看護師、薬剤師の3名以上で構成します。これらの3職種は専任(他の業務と兼任可能)の常勤者である必要があり、可能なら臨床工学技士を加えた配置が望ましいとされます。
メンバーの要件
看護師、薬剤師、臨床工学技師は術後疼痛管理にかかわる研修を修了していることが要件です。看護師では手術看護認定看護師、術後疼痛管理の内容が含まれる特定行為研修修了者(術中麻酔管理や外科術後病棟管理パッケージなど)、日本麻酔科学会の実施する「術後疼痛管理研修」修了者(令和4年5月より開始)が該当します。看護師は、年間200件以上麻酔管理症例のある病院で、手術室や周術期管理センターで2年以上の勤務経験があることも要件です。薬剤師で上記対象となる研修には、日本麻酔科学会の「術後疼痛管理研修」のみ該当します。令和4年3月31日までに日本麻酔科学会の「周術期管理チーム」認定資格があれば、次期更新まではこの資格で算定が可能になっています。
各施設での対応
プロトコル作成・・・チーム主導での術後疼痛管理のプロトコールを作成して実施します。プロトコルには、術後疼痛管理の方法、患者さんの安全管理、合併症予防を含む計画にします。
患者さんへの周知・・・対象病棟にはチームが対応していることを掲示するなど、患者さんへの情報提供を行います。
実際の疼痛管理・・・チームメンバーに加え主治医や受け持ち看護師らと協力して行います。チームの回診に薬剤師の同伴が難しい場合は、カルテや資料を通じて情報共有しながら疼痛管理を行うことも一つ方法だと考えられます。今後、麻酔科医と連携しやすい手術室看護師や周麻酔期看護師がさらに力を発揮して回診を行う施設が増えてくることが予想されます。
現在、このチーム加算が取れている施設は少ないかもしれませんが、麻酔科医と連携し加算を取っていくことを検討してみてはいかがでしょう。患者さんの苦痛緩和や安楽だけでなく、合併症低減に繋がる術後疼痛管理は年々重要視されてきています。この加算新設を通して全国でさらに周術期管理向上に向けた動きが広がることを願っています。
参考資料
●厚生労働省ホームページ:令和4年度診療報酬改定について 第2章改定の概要 1.個別改定項目についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000905284.pdf(令和4年5月17日閲覧)
●厚生労働省保険局医療課 事務連絡令和4年3月31日https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000938947.pdf(令和4年5月18日閲覧)
●日本麻酔科学会ホームページ:「術後疼痛管理研修」の実施についてhttps://anesth.or.jp/users/news/detail/62469680-d1c4-447c-8d58-58fe9dcdd4c6 (2022年5月17日閲覧)