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【連載】臨床の知識をおさらい!|看護師国家試験を元に基礎知識を解説

CO2ナルコーシスの症状に徐脈ってあったっけ?

  • 公開日: 2024/5/25

今回の問題

看護師国家試験第112回-午前-必修24
CO2ナルコーシスの症状で正しいのはどれか。
1.咳嗽
2.徐脈
3.浮腫
4.意識障害

回答

4

問題の解説

 CO2ナルコーシスとは、身体の中に二酸化炭素が貯留することで高二酸化炭素血症が生じて呼吸性アシドーシスが引き起こされ中枢神経系の異常を呈する状態のことです。二酸化炭素の貯留が軽度または緩徐に進行していると頭痛、頻脈、呼吸困難感、傾眠傾向といった症状を認めるようになり、二酸化炭素の貯留が高度あるいは急速に進行すると自発呼吸の減弱、意識障害といった臨床症状が見られるようになります。

CO2ナルコーシスについておさらい

 人は呼吸として酸素を吸って二酸化炭素を吐いて生きています。その呼吸を分解してみると吸気と呼気に分けられます。吸気は酸素を吸うことであり、脳幹にある呼吸中枢から指令が出て、脊髄や末梢神経を通ってその指令が呼吸筋に伝わり、胸郭が動くことで肺が広がり酸素を肺胞へ取り込むことができます。肺胞は酸素を取り込むと同時に、二酸化炭素を排出します。呼気は二酸化炭素を吐くことであり、吸気で広げられた呼吸筋が元に戻ることで胸郭が縮まり、肺が元の大きさに戻ることで二酸化炭素が身体の外へ排出されます。

 この一連の流れからわかる通り、呼吸は呼吸中枢がある脳幹が司っており、体内の二酸化炭素の濃度を優先して呼吸を調整しています。当然、酸素の濃度もかかわってきますが、通常の呼吸であればまずは二酸化炭素の濃度に影響されます。しかし、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった慢性的に体内の二酸化炭素濃度が高い状態が保たれていると、脳としては常に二酸化炭素濃度が高い状態なので、呼吸を早くして二酸化炭素を排出しようという指令が出にくくなり、脳は酸素濃度に応じて呼吸を調整しようします。そういった状態で、酸素投与が行われ体内の酸素濃度が上昇すると呼吸中枢が抑制され、呼吸回数が少なくなり、二酸化炭素が貯留して意識障害などの中枢神経症を認めるようになります。

 そのため、慢性的に二酸化炭素濃度が高い患者さんに対して酸素投与が行われる場合はCO2ナルコーシスに気をつけて観察をしていく必要があります。ただし、注意点としては低酸素血症は命にかかわるため、たとえCO2ナルコーシスのリスクが考慮されていても、重度の低酸素血症の患者さんに対しては十分な酸素を投与する必要があります。

 CO2ナルコーシスが疑われる場合は特に意識レベルや呼吸回数を継続的に観察する必要があります。そしてCO2ナルコーシスの徴候が見られた場合、例えば意識レベルが低下すると舌根沈下が生じて気道が塞がる可能性があり、呼吸管理が必要になるためすぐに医師へ報告することが重要です。

ポイント

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