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【連載】輸血看護を極めよう!

輸血が時間通りに終わらない!|トラブルシューティング

  • 公開日: 2024/6/5

輸血が時間通りに終わらないときはこう対応する!

 輸血を実施する際に推奨されている滴下速度は、成人の場合、輸血開始から15分間は1mL/分、輸血開始15分後からは最速5mL/分とされており、緊急時を除いてそれより早い速度で輸血してはいけません。この速度で輸血すると、Ir-RBC-LR2(280mL)は約70分、Ir-PC-10(200mL)では約60分で輸血が終了することになります。

 しかし、臨床の場面では、輸血ルートの刺入部位や患者さんの体動などにより滴下の調整が難しく、なかなか時間通りに進まないこともあります。滴下の調整がうまくいかないときは、ルートの刺入部位に漏れがないかや、輸血セットが目詰まりを起こしていないかを確認したうえで、刺入部位の動きや患者さんの体勢等、原因を取り除く対応をしながら、適宜滴下速度を調整してください。また、輸血製剤は、輸血バッグに輸血セットを差し込んでから6時間以内に使用することが推奨されているため、その時間内に終了できるようにしましょう。

ルートに血液を満たすときのトラブルシューティング

 血液製剤を輸血セットのルートに満たす際、フィルターが目詰まりを起こすことがあります。目詰まりの原因としては、使用前の血液バッグの混和が不十分であったり、血漿製剤の場合は融解が不十分なことによる沈殿物(クリオプレシピテート)の析出などが考えられます。また、赤血球製剤は、立たせた状態で2~6℃に静置保存されているため、赤血球凝集塊(マクロアグリゲート)などができている場合があります。輸血の実施前には、必ず輸血バッグの外観を十分に確認し、静かに上下または左右に振って内容物を混和しましょう。もし、凝集塊・固形物が認められた場合は、セット(プライミング)する前に輸血管理部門に使用の可否について確認しましょう。

 また輸血セットは、輸液セットと異なりろ過フィルターが付いているため、輸血の際はセットの選択を間違えないように注意しましょう。輸血セットを輸血バッグの輸血口に差し込む際は、輸血セットのプラスチック針を少しひねりながら、まっすぐに根元まで十分に差し込みます。輸血セットのろ過筒には半分以上血液を満たす必要がありますが、ろ過筒を指で押し潰して離す動作をゆっくりと行わないと、ろ過筒に十分に血液が満たされないまま滴下筒へ流れてしまいます。ろ過筒に血液を満たすときには、指で押しつぶしたら、ゆっくりと離すようにしましょう。

 以上のことを行なった上で、ルートに血液を満たす際、あるいは輸血中に目詰まりを起こしてしまったときは、輸血を継続せず医師に報告し、指示を仰いでください(原因によって、もう一方の輸血口へセットを再接続し輸血を継続する場合と、中止が必要な場合があります)。

参考文献

●日本赤十字社:輸血用血液製剤取り扱いマニュアル 2019年12月改訂版.2019,p.5.


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