【急変事例】糖尿病患者さんに急に不穏と麻痺が生じた
- 公開日: 2014/2/26
「急変対応の思考過程」に沿って事例で考えてみましょう。「急変対応の思考過程」の1「おかしさに気づく」は満たすものとして、2以降の流れで考えていきます。
事例 糖尿病患者さんに急に不穏と麻痺が生じた
Eさん(85歳・男性)は糖尿病の教育入院中でした。退院の前日ナースコールがあったので訪室してみると、ベッド上で身体を左右に振り、暴れているように見えました。看護師が声を掛けたのですが、視線が合わず、Eさんは左上のほうを見続けています。呼び掛けにも返答はなく、よく見ると右上下肢が全く動いていませんでした。
2 なぜおかしいと感じるのか?
身体を左右に振って暴れているように見えたことから、意識状態に何らかの変化が起こったことがうかがえます。また、右上下肢が全く動いていないということから右上下肢の麻痺が、さらに返答がないことから失語が疑われます。左の上の方を見ていることから共同偏視が起こっていることがわかります。
3 何が起こったのか? どんな可能性があるか?
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●脳梗塞あるいは脳出血を発症し、麻痺や失語が生じた
●既往である糖尿病の影響で低血糖が起こった
4 同定するために足りない情報は何か?
まずは可能性を精査する(否定できる可能性はないか)
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●低血糖 血糖値を測定し、低血糖である可能性を確実に否定 ↓ 脳梗塞・脳出血であることを同定する
まずはバイタルサインをチェックします。さらに麻痺の状態を評価するために、MMT(徒手筋力テスト)を行います。そして、瞳孔反射や対光反射の有無を確認し、意識レベルをみます。採血データにより凝固系が亢進しているかなども確認します。さらに確定診断のためには、CT、MRIなどの画像データが必要です。
次ページは「脳梗塞・脳出血(脳卒中)だとしたら、何をするか?そして、看護師ができることは何か」についてです。
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