【虚血性心疾患】 メカニズムと検査値編
- 公開日: 2014/3/8
臨床の現場で検査値を活用していくためには、疾患のメカニズムとのかかわりを念頭に置きながら読み取っていくことが大切です。臓器の働きや疾患がどのようにして起こるかを確認し、検査値の動きと読み取るためのポイントを解説します。
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)のメカニズム
冠動脈は心筋に酸素と栄養を送る血管です。この冠動脈が、動脈硬化によるアテローム性プラーク(粥腫)で狭窄したり、拡大したプラークや血栓で閉塞することで、心筋へ供給される血液が減少あるいは停止して心臓の機能が低下する疾患、それが虚血性心疾患です。その多くは、狭心症と心筋梗塞です。
狭心症は、心筋が一時的に虚血状態となり、胸痛など自覚的な訴えを伴う臨床症候群です。狭心症は、冠動脈の動脈硬化性病変であるプラークの部分に形成された血栓が、冠動脈の内腔を狭窄・閉塞させることによって発症します。胸痛はしばしば放散痛を伴い、持続時間は数分から長くても15分程度です。
運動したときや興奮したときに起こる労作狭心症、安静時でも胸痛が起こる安静狭心症、狭心症の頻度が増えるなどの程度が強くなった不安定狭心症、深夜から早朝に冠動脈が攣縮して生じる異型狭心症などがあります。
一方、心筋梗塞は、狭心症と同じようにして生じた血栓が、冠動脈内腔を閉塞し てしまい、そこから先の部位への血流が停止し、心筋の壊死が生じた状態です。心不全、ショック、重症不整脈、心破裂など、致死率の高い合併症が起こります。
急性心筋梗塞の場合は、前胸部に紋扼感、圧迫感を伴う強い痛みが生じ、30分以上持続します。冷汗や悪心・嘔吐、呼吸困難などを伴うことがあります。
続いては「虚血性疾患を示す検査値」について解説します。