間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度基準
- 公開日: 2025/1/15
間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度基準は何を判断するもの?
間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度基準は、間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度を評価し、医療費助成の対象となるかを判断するための指標です。
『間質性膀胱炎・膀胱通症候群診療ガイドライン』では、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群について、「膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛、圧迫感または不快感があり、尿意亢進や頻尿などの下部尿路症状を伴い、混同しうる疾患がない状態」の総称とするとしています1)。
このうち、膀胱粘膜に特徴的なびらん形成を伴うハンナ病変がみられる場合をハンナ型間質性膀胱炎または間質性膀胱炎(ハンナ型)といい、それ以外を膀胱痛症候群といいます。いずれも膀胱痛をはじめ、膀胱の圧迫感・不快感、尿意亢進、頻尿、尿意切迫感、残尿感といった症状がみられ、寛解や増悪を繰り返します。
間質性膀胱炎・膀胱通症候群の病因・病態は明らかになっておらず、確立した治療法も存在しないことから、対症療法が中心となります。具体的には、保存的療法(緊張の緩和、理学療法、行動療法、食事療法)や薬物療法、膀胱内注入療法、内視鏡的治療(膀胱水圧拡張術、経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術、経尿道的ハンナ病変レーザー治療)、その他(経皮的電気刺激、仙骨神経刺激、鍼、膀胱拡大術・摘出術、尿路変更術)などがあり、それぞれの患者さんに適した治療が行われます。
治療により症状の改善が得られるケースもありますが、治療効果が不十分な場合や症状が再発した場合は、再治療や追加治療が必要になり、患者さんの経済的負担が増すことも考えられます。
間質性膀胱炎(ハンナ型)のうち、重症度基準を満たす患者さんに関しては、医療費助成の対象となります。患者さんの負担を軽減し、継続して治療を受けられるようにするためにも、重症度基準で医療費助成の対象となるかどうかを判断することは大切です。
間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度基準はこう使う!
間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度基準では、膀胱痛の程度と最大1回排尿量から、間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度を軽症、中等症、重症の3段階に分類します(表)。
重症と判断された患者さんは医療費助成の対象となります。また、症状の程度により、基準を満たさない患者さんでも、高額な医療の継続が必要な場合は、医療費助成の対象と認められることがあります。
表 間質性膀胱炎(ハンナ型)の重症度基準(日本間質性膀胱炎研究会作成)
重症度 | 基準 |
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重症 | 膀胱痛の程度*が7点から10点 かつ排尿記録による最大1回排尿量が100mL以下 |
中等症 | 重症と軽症以外 |
軽症 | 膀胱痛の程度*が0点から3点 かつ排尿記録による最大1回排尿量が200mL以上 |
膀胱の痛みについて、「全くない」を0、想像できる最大の強さを10としたとき、平均した強さに最もよくあてはまるものを1つだけ選んで、その数字に○を付けてください |
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0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
引用・参考文献
●日本間質性膀胱炎研究会:間質性膀胱炎・膀胱痛症候群について.(2024年12月9日閲覧) https://square.umin.ac.jp/SICJ/about/index.html
●厚生労働省:226 間質性膀胱炎(ハンナ型).(2024年12月9日閲覧) https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/File/226-202404-kijyun.pdf
●松川宜久:間質性膀胱炎.排尿障害.現代医学 2024;71(1):39-45.