痤瘡重症度判定基準
- 公開日: 2025/1/1
痤瘡重症度判定基準は何を判断するもの?
痤瘡重症度判定基準は、尋常性痤瘡の症状の程度を客観的に評価し、治療方針を決定するための指標です。
尋常性痤瘡は、いわゆる「にきび」のことで、多くの人が経験する非常に身近な皮膚疾患です。思春期に発症しやすく、「青春のシンボル」などと言われることもありますが、成人後も症状が続いたり、新たに発症する場合もあり、精神的な苦痛につながるケースも少なくありません。
尋常性痤瘡の初期症状としてみられるのが面皰(毛包内に皮脂が貯留した状態)です。毛孔が閉鎖した閉鎖面皰(白色面皰)と毛孔が開大した開放面皰(黒色面皰)の2種類があり、面皰に炎症が起こると紅色丘疹を認めるようになります。炎症が進むと膿疱になり、さらに炎症が強くなると嚢腫や結節を生じることもあります。
痤瘡の状態によって病期が分けられており、紅色丘疹や膿疱などの炎症性皮疹が主体となる時期を急性炎症期、炎症性皮疹が軽快し、面皰または微小面皰が主体となる時期を維持期としています。
これまで尋常性痤瘡の治療は、炎症性皮疹を対象とした抗菌薬による治療が中心でしたが、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの登場により、治療の選択肢や対象となる症状も広がってきています。病期や重症度によって治療法が異なるため、痤瘡重症度判定基準を用いて重症度を評価することが求められます。
痤瘡重症度判定基準はこう使う!
痤瘡重症度判定基準では、片顔にできた炎症性皮疹の数をもとに、尋常性痤瘡を軽症、中等症、重症、最重症の4段階に分類します(表)。
痤瘡重症度判定基準の活用により、尋常性痤瘡の症状の程度を客観的に評価できるだけでなく、病期と合わせることで、治療の選択にも役立ちます。例えば、急性炎症期の患者さんで、重症・最重症の炎症と面皰がみられる場合、内服抗菌薬とアダパレン・過酸化ベンゾイルの配合剤の併用、外用抗菌薬とアダパレンの併用などといった治療が推奨されています1)。
急性炎症期の治療期間は最大3カ月間が目安とされており、それ以降は維持期の治療へ移行します1)。正しいスキンケアで尋常性痤瘡の予防に努めるとともに、病期や重症度に応じて、適切な治療を行っていくことが必要です。
軽症 | 片顔に炎症性皮疹が5個以下 |
---|---|
中等症 | 片顔に炎症性皮疹が6個以上20個以下 |
重症 | 片顔に炎症性皮疹が21個以上50個以下 |
最重症 | 片顔に炎症性皮疹が51個以上 |
引用・参考文献
●林伸和:尋常性痤瘡の標準治療とスキンケア.〈教育シリーズ〉化粧品を扱う人々が知っておきたい皮膚障害と化粧の有用性~臨床現場から~.日本香粧品学会誌 2023;47(3):203-10.