第3回 メカニズムと患者さんへの影響からみる女性のがん(その2)
- 公開日: 2012/12/27
今回は子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんの特徴について解説します。
子宮頸がんと子宮体がんでは特性や傾向が違う
子宮頸がんの罹患率は、20歳代後半から30歳代後半をピークにその後は横ばいで推移し、70歳代後半からまた増加します。
子宮頸がんは子宮頸部にできるがんで、発症にヒトパピローマウイルス(HPV)が関連しています。
組織型は約70%を扁平上皮癌が占め、ほかに腺癌などがんもみられます。症状は初期がんではほとんどみられず、帯下の増量や進行に伴う不正性器出血などで気付く場合もあります。
検診や外来等で、比較的容易に細胞や組織採取が可能なので、早期発見が可能ながんです。
治療法は病期によって異なり、手術療法では早期であれば円錐切除術を行い、妊孕性の温存も可能です。
少し病期が進むと子宮の摘出が基本となり、広汎子宮全摘出術が行われます。
また、扁平上皮がんは放射線療法がよく効くので、III期以降は、放射線療法を中心に化学療法と組み合せた外部照射と、子宮腔内まで線源を挿入する腔内照射が多く行われます。
子宮体がんの罹患率は、40歳代後半から増加し、50~60歳代でピークとなりそれ以降減少していきます。
子宮体がんは、肥満、高血圧、未産などがリスクファクターといわれています。
組織学的には類内膜腺癌がほとんどです。症状は早期から不正性器出血がみられ、漿液性から淡血性の帯下を認めます。
治療法は、初期の若年性子宮体がんでは、大量の黄体ホルモンを使って治療を行い、妊孕性を温存する場合がありますが、多くは手術療法で、単純子宮全摘出術や準広汎子宮全摘出術と両側付属器を切除するのが基本的です。
また放射線療法が行われることもあり、その場合は子宮頸がんと同様に外部照射と腔内照射が行われます。
※続いては、卵巣がんの特徴について解説します。