SMIスコア(簡略更年期指数)
- 公開日: 2024/9/1
SMIスコアは何を判断するもの?
SMIスコア(Simplified Menopausal Index、簡略更年期指数)は、更年期症状の程度を評価するためのスケールです。
閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた合計10年間を更年期といいます。更年期は卵巣機能の低下に伴い、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌が減少し、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、頭痛、関節痛、冷え、めまい、倦怠感、意欲低下、イライラ感、不眠などの更年期症状がみられるようになります。
更年期症状が重く、日常生活に支障をきたす状態のことを更年期障害と呼びますが、身体の不調を感じることがあっても、更年期障害の診断はすぐにできるものではありません。年齢が更年期にあたり、症状の原因となる疾患がないことを確認したうえで、更年期障害と診断されます。
更年期障害の主な治療法として、生活指導、カウンセリング・心理療法、薬物療法があります。薬物療法では患者さんの状態により、エストロゲン製剤や黄体ホルモン製剤を投与するホルモン補充療法(HRT)、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)を用いた向精神薬治療、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散による漢方療法などが行われます。
重い更年期症状があるにもかかわらず、我慢して治療を受けずにいるとQOLの低下を招くおそれがあるため、SMIスコアを用いて症状の程度を評価し、医療機関の受診や適切な治療につなげることが必要です。
SMIスコアはこう使う!
SMIスコアでは、身体的および心理的な症状に関する10個の質問項目について、患者さん自身で症状の程度を「強・中・弱・無」のいずれかで回答します(表)。それぞれの質問項目で算出されたスコアを合算し、合計点数をもとに評価を行い、スコアが高いほど医療機関の受診や治療の必要性が高いと考えます。
医療現場においてSMIスコアを用いることで、多忙な外来診療でも、簡便かつ迅速に更年期症状の評価と治療効果をモニタリングしていくことができるだけでなく、症状の変化を客観的に評価しながら治療に役立てることができます。ただし、個々の症状の詳細な評価には限界があるため、重篤な症状や合併症がみられる場合には、より詳しい検査が必要となることがあります。
個人レベルでも、更年期障害を疑う際にセルフチェックとしてSMIスコアを活用できますが、医療機関の受診や治療が必要とされるスコアでなくても、体調に不安を感じている場合には受診を検討することが大切です。
なお、SMIスコアは、医療機関を受診すべきかどうかを判断する際の目安などとして活用するものであり、スコアの高さ自体が更年期障害を示すものではないという点に注意が必要です。
表 SMIスコア
参考文献
●前田亜紀:更年期障害.女性の医学.日大医誌 2021;80 (4):177–80.
●高橋彩子,他:更年期障害と更年期に好発する精神疾患.女性医学:最近のトピックス.昭和学士会誌 2017;77(4):379-84.