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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Scheie分類

  • 公開日: 2024/9/5

Scheie分類は何を判断するもの?

 Scheie分類は、高血圧性眼底所見の程度を評価するために用いられるスケールです。

 眼底所見を調べる検査のことを眼底検査といいます。眼底検査では、眼底カメラや眼底鏡など特殊な検査器具を使って瞳孔の奥にある眼底を撮影・観察し、網膜や眼底の血管(網膜血管)、視神経の状態を調べ、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性といった疾患の診断に役立てます。

 また、網膜血管は、体外から直接観察できる唯一の血管であり、網膜血管を観察することで、高血圧や動脈硬化の程度など、全身の状態も推定できます。

 高血圧を治療しないまま放置すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や狭心症、脳卒中につながるおそれがあります。早期から適切な血圧管理を行うことが求められますが、高血圧には自覚症状がほとんどなく、健康診断などで高血圧を指摘されても、治療をせずに放置してしまう患者さんも少なくありません。そのため、Scheie分類を用いて、高血圧による血管の変化の有無、どういった変化がどの程度起こっているのかを具体的に評価し、患者さんに受診や治療を促すことが必要です。

Scheie分類はこう使う!

 Scheie分類では、網膜血管の状態から、動脈硬化性変化(Sclerosis:S)と高血圧性変化(Hypertension:H)をそれぞれ5段階で評価します。いずれも所見がない場合には「0」とし、動脈硬化性変化が認められる場合はS1~4、高血圧性変化が認められる場合はH1~4で表します。数字が大きいほど変化が進んでいるとされ、「H0S1~4」「H1S0~4」「H2S0~4」は軽度、「H3S0~4」は中等度、「H4S0~4」は重度と判断されます1)

 眼底検査で動脈硬化性変化や高血圧性変化がみられても、自覚症状が乏しいケースも多くみられます。Scheie分類で異常を指摘された場合には眼科を受診し、さらに詳しい検査を行うことが求められます。

表 Scheie分類

Scheie硬化性変化(S)高血圧性変化(H)
硬化性血管の特徴特定
健診 code
判定高血圧による血管の変化特定健診
code
判定
 *
01A1A
1動脈血柱反射が増強している。軽度の動静脈交叉現象がみられる。2B網膜動脈系に軽度のびまん性狭細化をみるが、口径不同は明らかでない。動脈の第2分枝以下ではときに高度の狭細化もあり得る。2B
2動脈血柱反射の高度増強があり、動静脈交叉現象は中程度となる。3B網膜動脈のびまん性狭窄は軽度または高度、これに加えて、明白な限局性狭細も加わって、口径不同を示す。3C
3銅線動脈、すなわち血柱反射増強に加え、色調と輝きも変化し、銅線状となる。動静脈交叉現象は高度となる。4C動脈の狭細と口径不同はさらに著明となって、糸のように見える。網膜面に出血と白斑のいずれか一方、あるいは両方が現れる。4D2
4血柱の外観は銀線状(銀線動脈)ときには白線状となる。5C第3度の所見に加えて、種々な程度の乳頭浮腫がみられる。5D2
*年齢、動脈硬化リスクファクターを考慮して選定して下さい。 
判定区分 A:異常なし B:軽度異常問題なし C:要経過観察 D:要医療(D1:要治療、D2:要精査) E:治療中
日本人間ドック学会 人間ドック画像検査判定マニュアル作成委員会 眼底部門:眼底健診判定マニュアル.p.8.(2024年8月19日閲覧) https://www.ningen-dock.jp/ningendock/pdf/Fundus-JSND.pdfより引用

参考文献

1)日本人間ドック学会 人間ドック画像検査判定マニュアル作成委員会 眼底部門:眼底健診判定マニュアル.p.10.(2024年8月19日閲覧) https://www.ningen-dock.jp/ningendock/pdf/Fundus-JSND.pdf
●谷川篤宏:眼底所見「②高血圧の眼底」.現代医学 2024;71(1):115-8.
●川崎良:眼底検査の方法 高血圧症に伴う眼底変化・糖尿病による眼底変化.総説(循環器病健康診査の手技と判定基準①).Japanese Journal of Cardiovascular Disease Prevention 2021; 56(3):226-32.

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