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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

CASPAR分類基準

  • 公開日: 2024/9/25

CASPAR分類基準は何を判断するもの?

 CASPAR(Classification Criteria for Psoriatic Arthritis)分類基準は、乾癬性関節炎(Psoriatic arthritis:PsA)の診断と分類を行うためのスケールです。2006年に提唱され1)、国際的に広く用いられています。

 乾癬性関節炎は、皮膚疾患である乾癬に腫れや痛みを伴う関節炎が合併した慢性炎症性疾患です。日本では40代での発症が多く、乾癬患者さんの約14%が乾癬性関節炎を有しているというデータもあります2)

 原因は明らかになっていませんが、発症すると、腱や靭帯が骨に付着する部分で炎症が生じる付着部炎をはじめ、手足の指がソーセージ様に腫脹する指趾炎、手足の指の第一関節に腫脹や痛みが生じる末梢関節炎などが起こります。

 治療法は、薬物療法と非薬物療法の大きく2つに分けられます。薬物療法では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド、抗リウマチ薬、生物学的製剤、分子標的薬などを用いた治療が行われ、非薬物療法では、生活指導(禁煙、体重減量)、患者教育、運動療法・作業療法、光線療法、手術療法などが行われます。

 乾癬患者さんで典型的な関節炎が出現した場合、診断は比較的容易ですが、関節炎が先行する場合、皮膚病変と関節炎が同時に発症したタイプで皮膚病変が軽度の場合は、診断に時間がかかることがあります。

 症状がみられてから診断までの期間が遅れると予後が悪くなるおそれがあるほか3)、4)、5)、乾癬性関節炎は関節破壊が急速に進行していくケースもあるため、CASPAR分類基準を参考に速やかに診断を行い、治療にあたることが必要です。

CASPAR分類基準はこう使う!

 CASPAR分類基準では、関節炎、脊椎炎あるいは付着部炎を有し、表にある5項目で3点以上であれば、乾癬性関節炎と分類します。

 乾癬性関節炎の診断に必要な臨床的および病理学的な特徴が体系的に整理されており、感度91.4%、特異度98.7%とされていますが1)、あくまで分類基準のため、基準を満たしたからといって、必ずしも乾癬性関節炎であるとは限りません。患者さんの病歴や家族歴の聴取、皮膚や爪の状態の観察、血液検査や画像検査(単純X線写真、MRI、超音波検査など)の実施、リウマチ因子や患者さんのQOLなどについて確認しつつ、鑑別・除外診断を行うことが求められます。

表 CASPAR分類基準

CASPAR分類基準
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業).乾癬性関節炎の不可逆的関節破壊進行阻止のための早期発見と治療を目指した診療ガイドライン策定に関する研究.平成30年度 総括研究報告書.p.39.(2024年8月19日閲覧)https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/27140より引用

引用・参考文献

1)W Taylor,et al:Classification criteria for psoriatic arthritis: development of new criteria from a large international study.Arthritis Rheum 2006;54(8):2665-7.
2)Ohara Y, et al:Prevalence and Clinical Characteristics of Psoriatic Arthritis in Japan.J Rheumatol 2015;42(8):1439-42.
3)Haroon M,et al:Diagnostic delay of more than 6 months contributes to poor radiographic and functional outcome in psoriatic arthritis.Ann Rheum Dis 2015;74(6):1045-50.
4)Theander E,et al:Early psoriatic arthritis: short symptom duration, male gender and preserved physical functioning at presentation predict favourable outcome at 5-year follow-up. Results from the Swedish Early Psoriatic Arthritis Register(SwePsA).Ann Rheum Dis 2014;73(2): 407-13.
5)Gladman DD,et al:Do patients with psoriatic arthritis who present early fare better than those presenting later in the disease?.Ann Rheum Dis 2011;70(12):2152-4.
●厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業).乾癬性関節炎の不可逆的関節破壊進行阻止のための早期発見と治療を目指した診療ガイドライン策定に関する研究.平成30年度 総括研究報告書.(2024年8月19日閲覧)https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/27140
●日本皮膚科学会乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会,他:乾癬性関節炎診療ガイドライ ン2019.日本皮膚科学会雑誌 2019:129(13):2675-733.(2024年8月19日閲覧)https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf

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