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【連載】コツをおさえる! 部位別フィジカルアセスメント

呼吸器アセスメント―触診・打診の部位、聴診時の音

  • 公開日: 2014/7/5
  • 更新日: 2020/10/22

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アセスメントは、患者さんとの会話やケアを通じて全身の状態に目を向け、五感をフルに活用することが大切です。ここでは系統別にフィジカルアセスメントのテクニックをまとめました。普段行っているアセスメントの流れと手技を再確認してみましょう。


呼吸器のフィジカルアセスメントの進め方

 呼吸器系の観察では、ガス交換の前提となる換気がきちんと行われているかをアセスメントします。呼吸機能は全身状態への影響が大きいため、他の器官との関係性も考慮しましょう。

1.視診でここをCHECK!

 1. 胸郭の外観(形態、左右差)
 2. 胸郭の動き
 3. 呼吸の状態(呼吸数、リズム、深さなど)
 4. 皮膚や爪の状態(チアノーゼの有無)など

2.触診でここをCHECK!

 1. 皮膚・皮下の状態(皮下気腫があるかどうか)
 2. 胸部呼吸運動の状態
 3. 触覚振盪音の変化(左右差や音の減弱)など
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3.打診でここをCHECK!

 1. 打診音の振動の大小や振幅(肺の含気状態、体液貯留、腫瘍の有無、臓器の位置関係の推察)など

4.聴診でここをCHECK!

 1. 気管支音、気管支肺胞音
 2. 肺胞音の高さ・強さ
 3. 吸気・呼気の長さ、質、左右差など

呼吸器のフィジカルアセスメントのコツ

テクニック1 触診のコツ

[触覚振盪音の触知]

 実施者の手(尺骨側)を患者さんの背部から脊椎を挟むようにあて、患者さんに低音で「ひとつひとつ」「ナイン・ナイン」など共鳴する音を発声してもらいます。そのときに生じた胸壁の振動の強弱を実施者が手で知覚します(下図)。

触覚振盪音の触知
(図 触覚振盪音の触知)

 患者さんが発する共鳴音によって胸郭内部の振動を触知し、その左右差や音の増強・減弱から呼吸器の状態を把握します。

[触診で何がわかる?]

 覚振盪音の減弱では気管支閉塞、胸膜の肥厚や滲出液、気胸、肺気腫などが、増強では肺組織の収縮・硬化による肺炎などの存在が疑われます。

テクニック2 打診のコツ

[打診の順序]

 胸部打診は間接打診法によって、肋間の上を左右対称に4~5cm間隔で叩きます(下図)。打診時、患者さんには普通に呼吸してもらってかまいませんが、肺下界を確認する際は、呼気の終わりでいったん呼吸を止めるよう指示します。

打診の順序
(図 打診の順序)

 健康成人の正常な呼吸時の肺は、空気を多く含むため、打診によって跳ね返ってくる音の振幅が大きい「清音」が聴かれます。振幅が小さい場合は鈍く短い「濁音」が聴かれ、含気が少ないことを意味します。

[打診で何がわかる?]

 体表面を叩打して跳ね返ってくる振動と音の性質から、直下にある物体の密度を知り、肺の含気状態、体液の貯留、臓器の位置関係や腫瘍の存在を推察することができます。

テクニック3 聴診のコツ

[聴診の方法]

 起座位の状態で、患者さんに相対して腰掛けるか、側面に位置します。患者さんにはゆっくり深呼吸してもらい、左右対称に上から下へ、前面から背面へ、一部位について一呼吸聴取します(下図)。その際、骨の上では肺の拡張音を認めにくいので、聴診器は肋間にあてることがポイントです。

聴診の方法
(図 聴診の方法)

 また、肺下界はみぞおちくらいまでで、あまり下部で聴取すると消化管の動く音が聞こえてしまいます。さらに左肺を前面から聴取する場合には、心音と混ざりやすいので注意が必要です。胸腔内の貯留物は下葉に多く認められるので、下葉での聴診は特に重要です。なるべく背面から丁寧に聴取するようにします。

[聴診で何がわかる?]

 呼吸音に減弱や消失があれば、何らかの原因によって気道が狭窄あるいは閉塞している状態です。

 また、気管および気管支に閉塞あるいは狭窄があったり、流動性の高い分泌物がある場合は副雑音が聞かれます。「ウィーズ(笛音)」「ロンカイ(いびき音)」などの連続性副雑音と、「コース・クラックル(水泡音)」「ファイン・クラックル(捻髪音)」などの断続性副雑音があります。連続性副雑音はおもに呼気時に、断続性副雑音はおもに吸気時に聞かれます。

聴診注目ポイント
POINT
(図 聴診注目ポイント)

臥床時の聴診

 臥床している患者さんの場合、重力の影響で分泌物などが貯留しやすいうえに、下葉は上葉に、左側は心臓によって圧迫されています。従って、臥床時は背中での呼吸音の聴診が重要になります。

 聴診時は、ベッドのマットレスを押し下げ、そのまま背中に聴診器をあてて聴取します。患者さんに負担がかからないように、聴診は特に観察が必要と思われる左肺下葉の1カ所で行います。このとき、マットレスと聴診器が接することで生じる摩擦音を副雑音と判断しないように注意します。

(『ナース専科マガジン』2014年4月号付録から改変引用)