Levine(レバイン)の分類(心雑音強度分類)
- 公開日: 2022/5/29
Levineの分類は何を判断するもの?
Levineの分類は、聴診器で聴取された心雑音の強度を確認するためのスケールです。心雑音の強さをⅠ~Ⅵの6段階に分類しており、数字が大きくなるほど音が強く大きいことを表します。
心雑音が聴取された場合、心疾患が生じている可能性が考えられます。特にⅢ度以上では器質的な疾患の可能性が高くなることから、心電図や心臓超音波検査など精密検査の実施が検討されます。
また、心疾患の有無にかかわらず、動脈と静脈の短絡シャントがある場合も、収縮期雑音や拡張期雑音、連続性雑音として聴取されるため注意が必要です。
Levineの分類はこう使う!
心雑音を聴取した際は、Levineの分類を用いて音の強さを確認します(表)。Ⅳ度以上の強い心雑音が聴取された場合は、胸壁に振戦(thrill)を触れることもあるため、胸部の聴診とあわせて触診も行うとわかりやすいでしょう。
心雑音は、患者さんに呼吸を止めてもらうのと同時に、聴診を行う医療者自身も呼吸を止めることで聴こえやすくなります。音が最も大きく聴こえる部分を見つけた上でLevineの分類による評価を行い、どの部位、どのタイミングで聴取されたのかなどを確認することが大切です。
表 Levineの分類
第Ⅰ度 | 注意深く聴診することで聴き取れる微弱な雑音 |
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第Ⅱ度 | 聴診器を当てるとすぐに聴き取れる弱い雑音 |
第Ⅲ度 | Ⅱ度とⅤ度の中間で弱い雑音。振戦を触れない |
第Ⅳ度 | Ⅱ度とⅤ度の中間で強い雑音。振戦を触れる |
第Ⅴ度 | 聴診器で聞こえる最大の雑音。聴診器を離すと聴き取れない |
第Ⅵ度 | 聴診器を胸壁から離しても聴こえる大きな雑音 |
Levineの分類を看護に活かす!
心雑音は、患者さんの経過を観察する際に必要な要素のひとつです。心筋梗塞などで入院中の患者さんでは、経過中に弁膜症や心破裂などの合併症が起こるリスクがありますが、いずれも心雑音の聴取が早期発見の契機となります。
また、弁膜症による心不全の患者さんであれば、日々聴診を行うことで状態の把握につなげることが可能です。血流の圧格差が大きいほど心雑音も強くなり、弁膜症が悪化している可能性が疑われます。重症弁膜症では急変するリスクが高いため、緊急時の対応について確認しておきましょう。
これまで心疾患を指摘されていない患者さんで心雑音が聴取された場合には、診断のための精密検査が行われることが考えられます。患者さんに状況を説明し、スムーズに検査が行えるよう準備を整えておくことも大切です。
参考文献
●磯部光章:心臓弁膜症の身体所見の取り方.日本内科学学会誌 2016;105(2):184-91.●臨床心臓病学教育研究会:聴診のすすめ.ベッドサイドの診療法1.(2022年4月27日閲覧) https://www.jeccs.org/medical/recommendation/bedside1/
●川島篤志:小テストで学ぶ “フィジカルアセスメント” for Nurses 【第6回】循環・呼吸(2).(2022年4月27日閲覧)https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2011/PA02921_06