DASC-21(ダスク-21、地域包括システムにおける認知症アセスメントシート)
- 公開日: 2022/5/25
DASC-21は何を判断するもの?
DASC-21は、高齢者の「認知機能」と「生活機能」を評価し、認知症の検出および重症度を判断するためのスケールです。正式名称は「地域包括システムにおける認知症アセスメントシート」で、認知症患者さんが住み慣れた地域で穏やかに過ごすことを目標に、東京都健康長寿医療センター研究所の粟田主一医師のもと作成されました。
認知症患者さんは、認知機能の低下だけでなく、生活障害、身体的・精神的な問題も抱えています。社会的に孤立しやすく、介護者の負担も計り知れません。DASC-21を用いて認知症患者さんの認知機能と生活機能を総合的にアセスメントすることで、必要な支援の調整や多職種間での情報共有につなげることが大切です。
DASC-21は設問が具体的なため観察による評価がしやすく、評価結果から実際の認知症の程度を把握したり、日常生活の様子を確認したりするのにも役立ちます。さらに、IADLに関する項目が設けられているため、軽度認知症の生活機能障害を検出しやすい点も特徴といえます。
DASC-21はこう使う!
DASC-21による評価は原則として、研修を受けた専門職がアセスメントシートをもとに行います。
【DASC-21アセスメントシート】 https://www.ncgg.go.jp/hospital/kenshu/kenshu/documents/DASC21.pdf
患者さんの家族や介護者に、日常生活の様子を確認しながら評価していきますが、家族や介護者がいない場合は、患者さん本人に質問したり、様子を観察したりするなどして評価を行います。
記憶、見当識、問題解決判断力、家庭内・家庭外のIADL、身体的ADLに分類された21項目について各1~4点で評価し、合計点が31点以上になると認知症の可能性があると判断されます。
31点以上の場合はさらに、遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体的ADLに関する項目の点数から、認知症の重症度(軽度認知症、中等度認知症、重症度認知症)を評価します。例えば、遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体的ADLの項目がすべて1点または2点の場合は、軽度認知症と判断されます1)。
DASC-21を看護に活かす!
認知症ケアには、地域を基盤とした多方面からの支援が不可欠です。DASC-21で患者さんの状態を包括的にアセスメントし評価することで、患者さんにより適した福祉介護サービスの利用や医療的ケアの提供につなげることができます。
入院患者さんであれば、退院後の介護や必要な支援についてケアマネジャーなどと話し合う際に、DASC-21による評価を活用するのもよいでしょう。
引用・参考文献
1)粟田主一,監:DASC-21とは.(2022年4月27日閲覧)https://dasc.jp/about●東京都健康長寿医療センター:認知症のアセスメント.(2022年4月27日閲覧) https://www.ncgg.go.jp/hospital/kenshu/kenshu/documents/2021047.pdf