MGFA分類|重症筋無力症の症状分類
- 公開日: 2022/5/19
MGFA分類は何を判断するもの?
MGFA(Myasthenia Gravis Foundation of America)分類は、重症筋無力症の症状をクラス分類し、重症度を評価するためのスケールです。患者さんが最も重症だったときの状態をもとに分類・評価するもので、治療の評価としては用いられない点に注意が必要です。
重症筋無力症は夕方に症状が強くなりやすく、日によっても症状が変動します。また、筋力低下の程度や範囲により症状もさまざまなため、スケールを用いて客観的に評価を行うことは重要です。重症筋無力症の症状や重症度を評価するスケールにはMGFA分類のほかに、MG-ADLスケールやQuantitative MGなどがあり、最近では2010年に発表されたMG composite scaleの有用性が示されています1)。
なお、重症筋無力症は国の指定難病のため、医療費助成を受けることができます。MGFA分類はその評価指標として用いられており、ClassⅠ以上で助成の対象とされます2)。
MGFA分類はこう使う!
MGFA分類では、筋力低下の程度や筋力低下をきたしている部位、症状などをもとに分類・評価を行います(表)。
眼以外の筋力は正常で、眼瞼下垂や複視といった眼の症状がある場合は、ClassⅠに分類されます。ClassⅡ以上では眼の症状の有無および程度は問わず、眼以外の筋の筋力低下の程度により分類され、構音障害や嚥下障害など球症状が強いほど、重症度も高いと判断されます。
気管挿管されている患者さんは、人工呼吸器装着の有無にかかわらず、ClassⅤに分類されます。また先述したように、MGFA分類では、最も重症だったときの状態をもとに分類・評価するため、たとえ現時点で重い症状がみられなくても、過去に気管挿管を行った患者さんはClassⅤに分類されます。
表 MGFA分類
ClassⅠ | 眼筋型、眼輪筋の筋力低下も含む。他の全ての筋力は正常 |
---|---|
ClassⅡ | 眼以外の筋の軽度の筋力低下。眼の症状の程度は問わない |
Ⅱa | 四肢・体軸>口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下 |
Ⅱb | 四肢・体軸≦口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下 |
ClassⅢ | 眼以外の筋の中等度の筋力低下。眼の症状の程度は問わない |
Ⅲa | 四肢・体軸>口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下 |
Ⅲb | 四肢・体軸≦口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下 |
ClassⅣ | 眼以外の筋の高度の筋力低下。眼の症状の程度は問わない |
Ⅳa | 四肢・体軸>口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下 |
Ⅳb | 四肢・体軸≦口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下 |
ClassⅤ | 気管挿管されている者、人工呼吸器装着の有無は問わない。眼の症状の程度は問わない (通常の術後管理として挿管されている場合は、この分類に入れない。気管挿管はなく、経管栄養チューブを挿入している場合は、Class IVbに分類する。) |
MGFA分類を看護に活かす!
MGFA分類では、筋力低下の程度や症状などで評価を行うため、評価者の主観に左右される場合もありますが、評価内容を記録しておき、スタッフ間で共有できるようにすることが大切です。
MGFA分類による評価を行うことで、日常生活への支障や経過についてもある程度想定できるため、どのようなケアが必要な患者さんなのかを把握し、ケアプランを立てる際の参考にするのもよいでしょう。
引用・参考文献
2)厚生労働省:概要・診断基準等及び臨床調査個人票 11 重症筋無力症.(2022年4月27日閲覧)https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/File/011-201804-kijyun.pdf
●日本神経学会,監:重症筋無力症診療ガイドライン2014.(2022年4月27日閲覧) https://www.neurology-jp.org/guidelinem/mg.html
●難病情報センター:重症筋無力症(指定難病11).(2022年4月27日閲覧) https://www.nanbyou.or.jp/entry/272