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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア

  • 公開日: 2022/4/27

CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアは何を判断するもの?

 CHADS2スコアおよびCHA2DS2-VAScスコアは、非弁膜症性心房細動の患者さんにおける脳梗塞発症のリスクを評価するためのスケールです。

 CHADS2スコアは、脳梗塞の発症にかかわる危険因子〔うっ血性心不全(Congestive heart failure)、高血圧(Hypertension)、年齢(Age:≧75歳)、糖尿病(Diabetes mellitus)、脳卒中または一過性脳虚血発作(Stroke/TIA)〕の頭文字をとったもので、これらをもとに脳梗塞発症リスクを評価し、抗凝固療法の適応を判断します。

 CHA2DS2-VAScスコアは、CHADS2スコアに血管疾患(Vascular disease)、年齢(Age:65~74歳)、女性(Sex category)の3つの因子を加えたものです。年齢については、65~74歳も有意な因子であったため1)、2)、CHADS2スコアにある75歳以上とは別に、新たに追加されました。

 ただし、日本人において、この3つの因子は有意な危険因子ではないこと3)、CHADS2スコアより優れたリスクスコアが創出されていないといったことから、『不整脈薬物治療ガイドライン』では、CHADS2スコアを基本とすることが適切としています4)

CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアはこう使う!

 非弁膜症性心房細動の患者さんにおける脳梗塞発症リスクについて、CHADS2スコアでは5つの評価項目(表1)、CHA2DS2-VAScスコアでは8つの評価項目(表2)を用いて評価を行い、抗凝固療法の適応を検討します。

 例えば、CHADS2スコアが1点以上の場合、抗凝固療法としてDOAC(直接阻害型経口抗凝固薬)が「推奨」、ワルファリンが「考慮可」とされています5)

表1  CHADS2スコア

危険因子スコア
CCongestiveheart failure
うっ血性心不全
1
HHypertension
高血圧
1
AAge≧75yrs
年齢(75歳以上)
1
DDiabetesmellitus
糖尿病
1
S2
Stroke/TIA
脳卒中/一過性脳虚血発作
2
Gage BF,et al: Validation of clinical classification schemes for predicting stroke: results from the National Registry of Atrial Fibrillation. JAMA 285:2864-2870, 2001.をもとに作成

表2 CHA2DS2-VAScスコア

危険因子スコア
CCongestiveheart failure
うっ血性心不全
1
HHypertension
高血圧
1
AAge≧75yrs
年齢(75歳以上)
1
DDiabetesmellitus
糖尿病
1
S2
Stroke/TIA
脳卒中/一過性脳虚血発作
2
VVascular disease(prior myocardial infarction、
peripheral artery disease、
or aortic plaque)
血管疾患(心筋梗塞の既往、末梢動脈疾患、大動脈プラーク)
1
AAge65-74yrs
年齢(65~74歳)
1
ScSexcategory(ie female gender)
性別(女性)
1
Lip GY,et al:Refining clinical risk stratification for predicting stroke and thromboembolism in atrial fibrillation using a novel risk factor-based approach:the euro heart survey on atrial fibrillation.Chest 2010;137:266.より引用

CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアを看護に活かす!

 心房細動の患者さんで、CHADS2スコアあるいはCHA2DS2-VAScスコアが1点以上の場合、脳梗塞を発症するリスクが高くなります。危険因子について説明することで患者さんの理解を促し、予防のための教育に取り組むことが大切です。

 抗凝固療法を行っているかどうか確認することも重要です。抗凝固療法を行っている場合には、継続的に服薬できるよう支援したり、患者さんの自己判断で服薬を中断したりしないよう指導します。

 また、抗凝固療法では出血傾向を来たすおそれがあるため、転倒や外傷などに十分注意するとともに、観血的な処置を行う場合には、抗凝固療法を中断する必要があるかどうか事前に確認し、患者さんに説明できるようにしておきましょう。

引用・参考文献

1)Friberg L,et al:Evaluation of risk stratification schemes for ischaemic stroke and bleeding in 182 678 patients with atrial fibrillation: the Swedish Atrial Fibrillation cohort study. Eur Heart J 2012;33(12):1500–10.
2)Atrial Fibrillation Investigators. Risk factors for stroke and efficacy of antithrombotic therapy in atrial fibrillation. Analysis of pooled data from five randomized controlled trials. Arch Intern Med 1994;154(13):1449–57.
3)Suzuki S,et al. Incidence of ischemic stroke in Japanese patients with atrial fibrillation not receiving anticoagulation therapy–pooled analysis of the Shinken Database,J-RHYTHM Registry,and Fushimi AF Registry.Circ J 2015;79(2): 432-8.
4)日本循環器学会,他:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン,2020,p.45(2022年3月28日閲覧) http://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/01/JCS2020_Ono.pdf
5)日本循環器学会,他:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン,2020,p.49(2022年3月28日閲覧)http://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/01/JCS2020_Ono.pdf

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