1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. がん
  5. Care Evaluation Scale(CES)

【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Care Evaluation Scale(CES)

  • 公開日: 2022/6/17

CESは何を判断するもの?

 Care Evaluation Scale(CES)は、緩和ケアにおけるケアプロセスを評価するためのスケールです。

 日本では、2人に1人が一生のうちに一度はがんになり、3人に1人はがんで亡くなることから1)、患者さんがよりよい最期を迎えるために、緩和ケアの充実が医療上の課題となっています。しかし、これまで緩和ケアに至るまでのプロセスを評価するスケールはありませんでした。そこで2002年に、遺族が故人の緩和ケアを振り返ってプロセスを評価するCESが開発されました。

 CESを用いて多くの遺族が緩和ケアのプロセス評価を行うことで、今後の緩和ケアの課題が浮き彫りになると考えられています。

 実際、CESを用いた日本の緩和ケアプロセスは高い評価が得られている一方で、ホスピス・緩和ケア病棟や在宅ケア施設に比べ、一般病院では「家族への配慮」に対する肯定的評価が低いという結果が出ており2)、一般病院における家族への支援やケアの充実がよりよい緩和ケアのための課題であることがわかります。

CESはこう使う!

 CESによる評価は、評価シートを用いて行います。

◆CES評価シート
http://www.pctool.umin.jp/CES2.pdf

 「1.医師の対応について」「2.看護師の対応について」「3.患者への精神的配慮について」「4.医師から患者への説明について」「5.医師からご家族への説明について」「6.設備について」「7.ご家族への配慮について」「8.費用について」「9.入院(利用)について」「10.連携や継続性について」に関する合計28の評価項目について、「非常にそう思う」「そう思う」「ややそう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」「まったくそう思わない」の6段階、または「該当しない」を含めた7段階で評価します。

 多くのデータを蓄積することで自施設の緩和ケアプロセスの課題がわかるようになっているため、結果をもとに、緩和ケアプロセスをよりよく改善していくにはどのようなことを目指せばよいのか、スタッフが個々人で考え、施設全体で改善策を見出していくことが大切です。

CESの結果を看護に活かす!

 前述したとおり、CESには全部で28の評価項目があります。そのうち、9項目は医師の対応について、3項目は看護師の対応について、残りは全スタッフに共通する対応、設備、費用などに関する評価項目となっています。

 看護業務に関連することをチェックし、改善点を見出していくのはもちろん、医師の対応、設備や費用などへの評価もしっかりチェックして、日頃から患者さんや家族がどのような点に不満を感じている可能性があるのか把握していくことも大切です。そして、その点を看護師としてどのようにフォローできるのか考えられるとよいでしょう。

引用・参考文献

1)国立がん研究センター:がん情報サービス.1.最新統計がんのまとめ.(2022年5月31日閲覧)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
2)青山真帆:遺族によるホスピス・緩和ケアの構造・プロセス・アウトカムの評価.遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究3.「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に検する研究」運営委員会編:日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団,2016,p.18-28 .(2022年5月31日閲覧)https://www.hospat.org/assets/templates/hospat/pdf/j-hope/J-HOPE3/J-HOPE3_all.pdf
●宮下光令:ケアプロセスの評価.遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究2.「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に 関する研究」運営委員会運営委員会編.日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団,2010,p.14-7.(2022年5月31日閲覧) https://www.hospat.org/assets/templates/hospat/pdf/j-hope/J-HOPE_2_1.pdf
●Morita T, et al:Measuring the quality of structure and process in end-of-life care from the bereaved family perspective. Journal of Pain & Symptom Management 2004;27(6): 492-501.

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

国際的天疱瘡重症度基準(Pemphigus Disease Area Index:PDAI)

PDAIは何を判断するもの?  国際的天疱瘡重症度基準(Pemphigus Disease Area Index:PDAI)とは、天疱瘡の重症度を評価するためのスケールです。  天疱瘡は、表皮細胞同士の接着を助けるデスモグレインと呼ばれるタンパク質に対する自己抗体が形成さ

2024/4/15

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
8位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741
9位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949