1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 精神科
  5. 認知症
  6. Alzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS)

【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Alzheimer’s Disease Assessment Scale(ADAS)

  • 公開日: 2022/6/19

ADASは何を評価するもの?

 Alzheimer’s Disease Assessment Scale(ADAS)は、アルツハイマー病の病状を評価するためのスケールです。

 アルツハイマー病による認知機能障害を評価する「ADAS-cog」と、精神状態などを評価する「ADAS-non cog」の2つの下位尺度から構成されていますが、ADAS-cogが単独で使用されることが多く1)、アルツハイマー病の診断時に進行の程度を判定したり、継続的に検査を行って病状の変化を把握する目的で用いられます。また、アルツハイマー病に対するコリン作動薬の効果を評価する際にも活用されます。

 ただし、評価項目が多く、検査には40分前後を要するため、簡易的なスクリーニング検査には適さないとされています1)

ADASはこう使う!

 ADASは、アルツハイマー病による認知機能障害を評価する「ADAS-cog」と、精神状態などを評価する「ADAS-non cog」の2つの下位尺度で構成されています。

 認知機能に関しては、「記憶」「言語」「行動」の3つの領域における計11項目(「単語再生」「口頭言語能力」「言葉の聴覚的理解」「自発話における喚語困難」「口頭命令に従う」「手指および物品呼称」「構成行為」「観念運動」「見当識」「単語再認」「テスト教示の再生能力」)について評価します(表)。

 スケールの評価表には各評価に対する点数が記載されており、最終的に全ての項目の合計点を算出して評価を行いますが、認知機能障害の程度が高度になるほど点数も高くなります。

 一方、精神状態など非認知機能に対する評価は、「涙もろさ」「抑うつ気分」「集中力の欠如」「検査に対する協力度」「妄想」「幻想」「徘徊」「多動」「振戦」「食欲の亢進/減少」の10項目で行います。

表 ADAS認知機能検査(採点表)

ADAS
Rosen WG,et al:A new rating scale for Alzheimer’s disease.Am J Psychiatry 1984;141(11):1356–64.より引用

ADASの結果を看護に活かす!

 ADASは評価項目が多岐にわたり、検査に多くの時間を要することから、アルツハイマー病のスクリーニングには適しませんが、病状変化の詳細な評価が可能なため、治療経過を評価するのに適しています。

 アルツハイマー病の自然経過では、ADASによる認知機能の評価は年間で9~11点ほど上昇するとされています2)

 アルツハイマー病は進行性の疾患ですが、短期間で点数の上昇がみられる場合は、投薬量などが患者さんに適さないことや、認知機能の悪化を引き起こす他疾患を併発している可能性などが考えられます。ADASを用いる場合は日頃から点数の変化に注意し、目立った上昇があるときは医師に報告しましょう。

引用・参考文献

1)河月稔:神経心理学的検査.医学検査 2017;66(J-STAGE-2),11-21.(2022年5月31日閲覧) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/66/J-STAGE-2/66_17J2-3/_pdf/-char/ja
2)Stern RG,et al:A longitudinal study of Alzheimer’s disease: Measurement, rate, and predictors of cognitive deterioration.Am J Psychiatry 1994;151(3):390–6.
●佐藤篤,他:認知症の心理検査の実際―近畿大学医学部附属病院メンタルヘルス科における現状―.近畿大学臨床心理センター紀要 2010;第3巻.159-67.

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

高齢者への鎮痛薬の使用の注意点

Q 高齢者の場合、鎮痛剤を使用して不穏になったり、使用しても効果がなく不穏になったり、基礎疾患のある場合には副作用も考慮しなければならないと思います。高齢者への鎮痛剤の使用で特に気をつけたほうがよいことはありますか。 A オピオイド鎮痛薬では、特に鎮静作用による上気道閉塞や

2022/7/1

アクセスランキング

1位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
2位

簡単! 楽ちん! 点滴の滴下数計算 2つの方法

皆さんご存知の通り、点滴指示書には様々な書き方があります。 よくあるパターン ●流速が書かれている (例)「○○輸液500ml 60ml/h」 ●1日の総量が書かれている (例)...

251296
3位

看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイン

ここでは一般的な看護記録を解説しています。また、看護診断名にNANDA-I看護診断を使用しています。実際の記録は院内の記録規定に従いましょう。 【関連記事】 *看護計画の「観察項目...

249544
4位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741
5位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・...

250751
6位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
7位

転倒転落リスクに対する看護計画|高齢で転倒の恐れがある患

高齢の転倒転落リスクに関する看護計画 加齢に伴い筋力や平衡感覚などの身体機能が低下することに加えて、疾患やそれに対する治療、使用する薬剤の副作用、入院環境などさまざまな要因で転倒や転落しやすくな...

313501
8位

心不全の看護|原因、種類、診断、治療

*2020年4月30日改訂 心不全とは  生活習慣病やさまざまな基礎疾患、加齢などが原因となり、心機能、特に多いのは左心室のポンプ機能が低下することで起こります。心臓のポンプ機能の代償...

249812
9位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
10位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開の看護 吸引とは...

250001