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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

FAST

  • 公開日: 2021/10/11

FASTは何を判断するもの?

 FAST(Functional Assessment Staging of Alzheimer’s Disease)はアルツハイマー型認知症の進行度、重症度を評価するためのスケールです。


 認知症の状態をスクリーニングする評価法としてはFASTのほかに、長谷川式簡易知能評価スケール(Hasegawa’s Dementia Scale-Revised:HDS-R)やミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination:MMSE)などが挙げられますが、これらは質問形式で行うものです。


 一方、FASTは患者さんへの質問ではなく、患者さんを観察することで得られる情報、家族や介護者へのヒアリングによる情報をもとに評価を行います。

  

 同様の方法で認知症を評価するスケールには、初期認知症徴候観察リスト(Observation List for early signs of Dementia:OLD)、Clinical Dementia Rating(CDR)などがありますが、FASTはアルツハイマー型認知症の進行度、重症度の評価に特化しているのが特徴です。


 また、進行度、重症度だけでなく、今後の症状の経過予測も可能なため、環境の整備や適切なケアの導入などにつなげることができます。


FASTはこう使う!

 アルツハイマー型認知症の初期段階では物忘れが生じます。家族や親しい人の名前を思い出せない、同じことを何度も聞いたり話したりするなどの変化がみられるものの、日常生活に大きな支障はみられません。しかし、末期の段階ではADLが著しく低下し、ほぼ寝たきりになります。


 FASTは、ADLの障害の程度をみることで、アルツハイマー型認知症の進行度および重症度を7段階で評価します(表)。重症度が高まるにつれ、徐々に症状も進行していきます。


表 FAST

1.正常
2.年相応物の置き忘れなど
3.境界状態熟練を要する仕事の場面では、機能低下が同僚によって認められる。新しい場所に旅行することは困難
4.軽度のアルツハイマー型認知症夕食に客を招く段取りをつけたり、家計を管理したり、買い物をしたりする程度の仕事でも支障をきたす
5.中等度のアルツハイマー型認知症介助なしでは適切な洋服を選んで着ることができない。入浴させるときにもなんとか、なだめすかして説得することが必要なこともある
6.やや高度のアルツハイマー型認知症不適切な着衣。入浴に介助を要する。入浴を嫌がる。トイレの水を流せなくなる。失禁
7.高度のアルツハイマー型認知症最大約6語に限定された言語機能の低下。理解しうる語彙はただ1つの単語となる。歩行能力の喪失。着座能力の喪失。笑う能力の喪失。混迷および昏睡

Reisberg B et al:Functional staging of dementia of the Alzheimer type. Ann NY Acad Sci 1984; 435(1):481-3.より引用


FASTの結果を看護に活かす!

 医療の場で高齢の患者さんが占める割合は大きく、認知症に罹患している患者さんも少なくありません。認知症のなかでもアルツハイマー型認知症の割合は最も高く1)、よくに目にする疾患といえます。


 アルツハイマー型認知症は、発症から概ね10年の経過をたどりますが、病気の進行とともに新たな症状が出現します。FASTでは、進行度、重症度をみることで将来的に患者さんに起こりうる症状の予測が可能なため、病状、症状に合ったスムーズな看護ケアの提供につなげることができます。


引用・参考文献

1)厚生労働省:都市部における認知症有病率と認知症の生活機能への対応(平成25年3月),p.7.(2021年9月13日閲覧)http://www.tsukuba-psychiatry.com/wp-content/uploads/2013/06/H24Report_Part1.pdf

厚生労働省:認知症の臨床評価について.(2021年9月13日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018zii-att/2r98520000018zsi.pdf

神崎恒一:アルツハイマー病の臨床診断.日本老年医学会雑誌 2012;49(4):419-24. (2021年9月13日閲覧)https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_geriatrics_49_419.pdf

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