TIMIリスクスコア
- 公開日: 2021/10/9
このスケールは何を判断するもの?
TIMIリスクスコアは、非ST上昇型急性冠症候群(non-ST-segment elevation acute coronary syndrome :NSTE-ACS)*の患者さんにおいて、2週間以内の急性心筋梗塞発症リスクや死亡リスクを予測するためのスケールです。
7つの項目でスコアを算出でき、いずれの項目も既往歴、服薬歴、外来での検査結果などからわかるため、病院を受診してすぐに判定することができます。スコアを算出すると同時にリスクの層別化を行うことで、入院の要否や治療のタイミングについて評価します。
*不安定狭心症(unstable angina:UA)、非ST上昇型心筋梗塞(non-ST-segment elevation myocardial infarction:NSTEMI)の総称
スケールはこう使う!
TIMIリスクスコアでは、①年齢(65歳以上)、②3つ以上の冠危険因子(家族歴、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、現喫煙)、③既知の冠動脈有意狭窄(≧50%)、④7日間以内のアスピリンの使用、⑤24時間以内に2回以上の狭心症状の存在、⑥心電図における0.5mm以上のST偏位の存在、⑦心筋バイオマーカーの上昇(CK-MB、心筋トロポニン)の7つの項目1)をチェックし、1項目1点としてスコアをつけます。
0~2点を低リスク、3~4点を中リスク、5~7点を高リスクとし、スコアが高くなるにつれ2週間以内の急性心筋梗塞発症リスクや死亡リスクが上昇します。
また、インターネット上に、7つの項目にチェック(Yes・No)を入れるだけで、自動でスコアを算出・評価するツールもあります。こういったツールを活用するのもよいでしょう。
インターネット上の算出・評価ツールの例
https://www.mdcalc.com/timi-risk-score-ua-nstemiスケールの結果を看護に活かす!
TIMIリスクスコアは、NSTE-ACSが疑われる患者さんに対して用いられます。このような患者さんが救急搬送されてきたケースでは、病院に着いてすぐに評価すべきスコアです。冠動脈疾患は急変や死亡リスクがあるため、速やかに入院や治療の要否を判断することが重要です。
胸痛などを訴える患者さんのトリアージの場には、看護師もよく遭遇するでしょう。TIMIリスクスコアの活用により、入院や治療の場にスムーズにつなげることが可能です。また、スコアが高い患者さんでは急変の可能性も高いため、経過観察を注意深く行い、些細な容態の変化に早い段階で気づけるようにしましょう。
引用・参考文献
1)日本循環器学会,他:急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版),2019,p.28 (2021年9月13日閲覧)https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2018_kimura.pdf