【服薬管理】アセスメントの4つのポイント
- 公開日: 2014/7/30
治療をスムーズに進めるため、あるいは安全・安楽に支援するために、高齢者特有の症状や機能低下について解説します。
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1 患者さんの身体的機能を把握する
まずは患者さんが一人で薬物を服用できるかどうかを、視力、聴力、認知状態、手指の巧緻性、嚥下状態など、身体の機能やADLなどから評価する必要があります。
できれば初回の服薬時に、
- ●包装を破る
- ●薬物を取り出す
- ●薬物を口元まで運ぶ
- ●薬物を口の中に入れる
- ●むせずに飲み込む
といった一連の服薬動作ができているかを観察してみるとよいでしょう。
いずれかに問題がある場合は、どの程度までならできるのか、補助する用具・道具を使えば改善するのかなども併せてみていきます。
高齢者に考えられる身体機能低下と問題点
2 服薬の説明を十分に理解しているかどうかを確認する
服薬方法について説明を理解できているかどうか、以下4つのことを患者さんと確認します。
- ●与薬の目的
- ●服薬量
- ●服薬方法
- ●1日の服薬回数
理解が十分でないときは、何が、どうわからないのかを聞いていきます。また、わからない理由も聞いてみましょう。
3 服用している薬物の効果を評価する
薬物の効果の出現には個人差がありますが、それ以前に高齢者は、肝・腎機能の低下などによって薬物の代謝機能や排泄機能が影響を受けます。
そのため、代謝時間や血中濃度、薬理作用の時間が変わってきます。薬物代謝の低下によって効果の出現が遅れ、血中濃度が高くなり、さらに排泄もなかなかされないため、薬物が体内に蓄積されていきます。
例えば、睡眠薬を服用した場合、1日目にあまり効果がみられないといって、増量していくと3~4日目には、それまで蓄積されていた薬物の効果が、一気に出現してしまい、意識が朦朧としたり、足元がふらついて転倒してしまったりすることがあります。
同様に、抗凝固薬においても、通常の量を服用しているにもかかわらず効果が強く出てしまい、出血傾向になることがあります。血液データなどで、栄養状態、肝・腎機能のデータ、電解質をチェックして出血傾向をみていく必要があります。
このように、高齢患者さんの場合は、自覚症状を聞き、薬物の処方量と発現状態を観察しながら薬物の効果を評価していくことが重要です。
薬物動態に変化が生じる薬物の例
4 なぜ薬を飲みたくないのか、その理由を探る
患者さんが服薬を拒む場合、そこには何かしらの理由があります。「飲んでも効かないから」「飲むとよけいに具合が悪くなる」「頭痛がする」あるいは「薬が飲みにくい」など、さまざまな理由から服薬を拒否します。
なぜ、服薬が嫌なのか、まずはその理由を患者さんに聞くことが重要です。薬効が強く出すぎている、副作用が出現している、嚥下機能が低下しているなど、薬物の影響である可能性もあります。
話しながら、ろれつが回らないなど、違った症状がないかも観察します。そして、理由が明確になったら、次にどのような対策が取れるかを、患者さんと一緒に考えていきます。薬物による影響と考えられるときには、どのようなときに、どのような症状が出現するのかを確認することが必要です。
高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物
多剤服用にはどんな注意が必要なの?
A 薬剤の過剰投与につながるおそれがあります
高齢者の場合、複数の疾患を抱えていることが多く、受診している診療機関・診療科ごとに薬物が処方されています。複数の医療機関を受診している場合は、ほかの施設での処方が正確に把握されていないことは少なくありません。
その結果として、名称は違っても、同じような作用の薬物が処方され、重複して飲んでしまっていることがあります。
こうした多剤服用には、薬物の過剰投与につながるなどいくつかの問題があるので、患者さんの受診状況を聴取して、すべての処方薬と服薬状況を確認・把握することが重要です。
もし、同じような作用の薬物が処方されていた場合には、担当医に報告、その対応について相談します。
また、副作用や相互作用などが出現する可能性もあるので、これまでと違う症状についての観察も必要です。
(『ナース専科マガジン』2013年2月号から改変利用)
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