【連載】何かヘンだ”がわかる! 急変前に気づく五感アセスメント
第8回 急変の予兆を知る 意識・精神活動の変化と「お決まりの抵抗手段」④意識とせん妄
- 公開日: 2015/10/4
はっきりとした予兆もなく、患者さんが急変したり、重篤な疾患が進行していたりする経験があると思います。そのような急変に先立って、先輩の看護師や医師から「あの患者、何かヘンだよね」という直感的な台詞を聞いたことがあるかもしれません。
この連載では、急変前の「何かヘン」と感じる患者への直感的な違和感について解説し、急変を見抜く力を養います。
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「あらためて「意識」とは?
「意識」=意識レベル+認知機能です。意識レベルとは「どれだけクリアに目が覚めているか?」です。
認知機能とは思考、理解、判断といった日常的な精神活動(=「頭の回転」)のことです。精神活動が正常(日常的)であるためには、意識レベルが完全にクリアでなければなりません。
クリアな意識レベルの大前提は、安定した血液環境(ホメオスタシス)です。血液環境が乱れると脳に悪影響が及びます。少しでも意識レベルが落ちれば、「頭の回転」が急に停滞します。これが「軽い意識障害」です。
「軽い意識障害」とは?
意識レベルの低下は誰にでもわかる危険なサインです。一方で、見逃されやすいのが「軽い意識障害」です。Japan Coma Scale(JCS)でいえば「ほぼ意識清明(覚醒状態)だが、今ひとつはっきりしない」様子です(JCSの1点)(表1)。
表1 Japan Coma Scale(JCS)
言葉で表現すると非常に漠然としていますが、「軽い意識障害」による「全体的イメージ」の変化は、みなさんの直感を強く刺激することでしょう。「軽い意識障害」は急変の予兆として重要です。