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【連載】心不全と呼吸不全のアセスメント

パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度(SpO2)とは

  • 公開日: 2017/3/20

▼サチュレーション(SpO2)について、まとめて読むならコチラ
サチュレーション(SpO2)とは?基準値・意味は?低下の原因と対応


動脈血酸素飽和度とは

 酸素化の指標に一つに、動脈血酸素飽和度があります。動脈血酸素飽和度は、動脈血中の総ヘモグロビンのうち、酸素と結合したヘモグロビンが占めている割合です。酸素の大部分は血液中のヘモグロビンと結合して全身に運搬されるため、この動脈血酸素飽和度をみることで酸素がどのくらい血液中に供給されているかを確認することができます。

 動脈血酸素飽和度は血液ガス分析において測定されますが、パルスオキシメーターを使い、経皮的に測定することができます。血液ガス分析において動脈血を直接測定した場合の動脈血酸素飽和度をSaO2、パルスオキシメーターで経皮的に測定した動脈血酸素飽和度をSpO2といいます。

 パルスオキシメーターによる測定は簡便なため、ベッドサイドでよく行われています。しかしながら、SaO2およびSpO2の値の意味を正しく理解していないと、患者さんの酸素化の状態を正しくとらえることができません。ここでは、動脈血酸素飽和度の値を解釈するために必要な基本知識をおさらいしておきましょう。

■SpO2(SaO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の関係

 SpO2(SaO2)の値は、動脈血酸素分圧(PaO2)によって決められています。両者の関係は、「酸素解離曲線」で表すことができ、本来は血液ガス分析によってしかわからないPaO2をSpO2の値から推測することができます。

 つまり、SpO2が95~98%であれば、PaO2が80~100Torrと正常範囲内であることを示し、SpO2が90%の場合は60Torrの低酸素血症と判断できるのです。

 また、この曲線からPaO2が80~100Torr の間はSpO2の変化が少なく、PaO2が60Torr以下になると、PaO2に比べてSpO2が急激に低下することがわかります。

 ただし、この酸素解離曲線をみる上で注意しなければならないのは、この曲線が室内気吸入酸素濃度21%、pH7.40、PaCO2 40Torr、体温37℃という条件下のものであり、pH、PaCO2、体温の値の変化により変動するということです。

 PaCO2上昇、pH低下、体温上昇といった組織での酸素需要が増加している状態では、組織に酸素を放出しやすくなるため、酸素解離曲線は右側にシフトします(右方移動)。

 逆に、PaCO2低下、pH上昇、体温低下の状態では、動脈血酸素分圧が低くても酸素がヘモグロビンと結合しやすくなり、酸素解離曲線は左側にシフトします(左方移動)。

■ SpO2で注意したいこと

 SpO2はベッドサイドで簡便に検査ができ、前述したようにPaO2を推測できるというメリットがあるため、急変時や継続的なモニタリングが必要なときに有用です。しかし、ただ単にSpO2の値だけをみて、酸素化の状態を判断してはいけません。そもそも動脈血酸素飽和度は、酸素と結合したヘモグロビンの割合をみているので、血でヘモグロビンが少ない場合には酸素化が低下していても正常値を示してしまうことがあります。

 また、パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度は、条件によっては正しく測定されないことがあります。患者さんの呼吸困難や努力呼吸などのフィジカルアセスメントを行いながら、必要に応じて、動脈血を採血して、血液ガスの値を確認することが必要になります。

正しく測定されないケース

●末梢循環障害
●マニキュアの塗布
●一酸化炭素中毒(ヘモグロビンが酸素より一酸化炭素と結び付きやすいため)

(ナース専科マガジン2014年11月号より転載)

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