経過記録の書き方のポイント(SOAP、フォーカスチャーティング、経時記録)|看護記録書き方のポイント3
- 公開日: 2018/6/16
ここでは一般的な看護記録を解説しています。実際の記録は院内の記録規定に従いましょう。
経過記録は看護計画を実施した結果を記録
経過記録には、看護計画に基づいた看護を実施した結果を記録します。経過記録は、看護記録の中でもメインとなる記録です。以下のような視点で記述します。
・患者さんからどのような反応が得られたのか
・患者さんの健康状態や看護問題がどのように変化したのか
POS(問題志向型システム)の考え方に基づいて書く
経過記録は基本的に、POS(問題志向型システム、Problem Oriented System)の考え方に基づいて記録します。POSとは、簡単にいうと患者さんがもつ問題を解決するために医療を行うという考え方です。
POSに基づいた診療録は、POMR (Problem Oriented Medical Record)と呼ばれています。
経過記録においては、患者さんのもつ問題に焦点を当てて、その問題ごとに患者さんの様子や看護師が実施したケアを記録していきます。
経過記録の記録方法の種類
経過記録の記録方法には、
- SOAP(ソープ形式)
- フォーカスチャーティング(DAR形式)
- 経時記録
の3種類があります。
SOAPとフォーカスチャーティングは、前述したPOS(問題指向型システム)の考え方に基づいた記録方法です。
経時記録は、伝統的な書き方で、時系列に沿って記録していきます。
それぞれにメリット、デメリットがありますが(表)、臨床現場では、SOAPによる記録が多いでしょう。POSによる考え方が適さない場合には、経時記録で記録します。
例えば、入院から初期計画立案までの経過、重症・急変時・死亡時・事故発生時など突発的な出来事の経過、カンファレンスの記録(検討内容・結果・参加スタッフ名など)、ムンテラの記録、医師からの口頭指示などです。
形式 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
SOAP(ソープ形式) | 患者さんがもつ問題ごとに、S(Subject):主観的データ、O(Object):客観的データ、A(Assessment)アセスメント、P(Plan)計画に分けて記録する | ・問題とそれに対するケアが明確 ・思考の流れがわかりやすく、根拠のあるケアにつながる |
・立案されていない看護問題に対しては、追加立案する必要がある ・1日、もしくは1場面のケアについて考えるため、長期間の経過の評価には適さない ・慣れないうちは記録に時間がかかる |
フォーカスチャーティング(DAR形式) | 患者さんの反応や状態に焦点(フォーカス)をあてて、「Focus(フォーカス)」ごとに、「Data(データ)」、「Action(アクション)」、「Response(レスポンス)」を順序立てて記録する | ・患者さんの反応や状態をフォーカスとして挙げるため、記載に柔軟性がある ・看護ケアと患者さんの反応が明確になるため、一連のケアの流れがわかりやすい |
・記録者によって、取り上げるフォーカスが異なるため、経過を比較するのが難しい ・フォーカスの当て方や状況の変化によって、フォーカスが多くなり、記録が増えやすい |
経時記録 | 患者さんの状態・状況、実施した看護、治療や検査などに対する患者さんの反応などを経時的に記録する | ・時系列で記録されるためわかりやすい ・入院から初期計画立案までの経過、重症・急変時・死亡時・事故発生時など突発的な出来事の経過、カンファレンス・ムンテラの記録、医師からの口頭指示を記録するのに適している ・形式にとらわれないため、書きやすい ・患者さんの行動パターンや性格など、個別性があらわれやすい |
・記録が長くなりやすい ・記録に時間がかかる |
経過記録 よりよい記録のためのポイント
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