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【連載】今さら聞けない! 基礎看護技術をおさらい

看護記録書き方のポイント1|基礎情報の書き方の基本

  • 公開日: 2018/4/28

ここでは一般的な看護記録を解説しています。実際の記録は院内の記録規定に従いましょう。


キホンのキホン

事実を記録する

 看護記録は必ず事実を記録することが重要です。自分が実際にみていないことを憶測で書かないようにしましょう。また、記録に時間がかかるからといって、予定しているケアをあらかじめ記録しておくこともやめましょう。

 逆に、実施したケアは必ず記録するようにしましょう。記録が残っていなければ、ケアをしていないとみなされてしまいます。

責任の所在をはっきりさせる

 誰がいつ・どこで・どんなケアを行ったかなど、責任の所在がわかるように書くことが重要です。特に「誰が」については、担当医、担当看護師、当直医などで表すのではなく、人名を記すようにしましょう。

わかりやすい言葉・表現で記録する

 誰がみてもわかるような言葉や表現を用いるようにします。また、誤解を招くような表現も避けましょう。

 院内の他職種の医療関係者はもちろん、他の施設との情報共有や患者さん・家族への情報開示の機会があることも念頭に入れて記録する必要があります。

 特に略語は注意が必要です。院内で規定されている略語以外は使わないようにしましょう。できれば、略語を使用せずに、正しい名称で記録することが理想的です。

 また、造語や医療業界や院内特有の言葉も使わないようにしましょう。

・造語の例 カッコ内は正しい記述
R苦(呼吸苦症状)、QQ車(救急車)

・医療業界特有の言葉例
タキる(頻脈)、ステる・ステルベン(死亡する)、フラット(平坦)、ケモ(化学療法)

人権や人格を侵害する言葉や表現は使用しない

 看護記録にも倫理的配慮が必要です。人種、性別、国籍・本籍地、職業、経済状況、宗教、信条、社会的身分、障害や疾患に関することを記述する際には、人権や人格を侵害する言葉や表現を用いないように注意しましょう。

・人権や人格を侵害する言葉・表現の例
人種:外人、黒人
経済状況:貧乏、成金
障害・疾患:方輪、びっこ、めくら、ボケ(ボケる)

医療者が優位だと感じさせる表現は使用しない

 「やらせる」「実施させる」「指示に従わない・やらない」などの表現は、書いている側が意識せずとも医療者が優位に立っているような印象を与えてしまいます。

 「してもらう」「できない」「実施されない」など、患者さんに配慮した表現にしましょう。

カンファレンスや口頭指示の内容も記録する

 看護記録で忘れがちなのが、カンファレンスの記録です。参加できないスタッフもいるので、記録に残し、情報共有することが必要です。

 経過記録に、カンファレンスで話し合った内容やその結果、参加したスタッフの名前などを経時記録形式で記録しておきます。

 また、医師からの口頭指示も記録に残しておきましょう。これも経過記録に経時記録形式で、日時と指示した医師名、具体的な指示内容(「何を・どれくらい・どのように・どうする」)を記録します。


4月10日10時
口頭指示  田中医師より「脱水補正のため、生理食塩液500mlを100ml/hで投与する」

紙での記録における注意点

 電子カルテ上の記録では変更の履歴が自動的に保存されるため、改ざんを防ぐことができます。しかし、紙での記録の場合は改ざんが行なわれないように、また疑われることがないように記録する側が配慮する必要があります。


黒いボールペンを使う

 改ざんを防ぐために、黒色のボールペンを使います。他の色のボールペンやこすると消えるペンは使わないようにしましょう。


二重線で訂正する

 文字の修正は、訂正したことと訂正前の記述がわかるように、二重線を引き、正しい文字を追記します。修正液や修正ペンを使用したり、塗りつぶしたりしないようにしましょう。


 単なる誤字脱字ではなく、文章の意味が変わるような訂正の場合は、訂正箇所の近くに「日付・時刻・サイン(自分の名前)」を書きます。


看護記録の訂正の仕方


サインは直筆で

 サインは印鑑ではなく、直筆で記入します。筆跡などから、本人であることが証明できるためです。


空白行は「空白」であることを記す

 追記ができないように、空白のところに「〇行空白」など、空白行の数と空白であることを記載します。


基礎情報の書き方

患者さん・家族からの情報を転記

 基礎情報は、1号紙、アナムネ用紙、データベース用紙などと呼ばれているものです。各施設で用意されているフォーマットに、患者さん・家族に指定の情報を記入してもらいます。それをもとに、看護記録のシートに転記していきます。


基礎情報は個人情報

 基礎情報には、患者さんの氏名・年齢・生年月日や既往歴、家族との関係性などプライバシーにかかわる情報が記入されています。いわば患者さんの個人情報です。紛失したり、人の目にさらされたりしないように、取り扱いには特に注意しましょう。


 また、患者さん・家族に記入してもらう際には、取り扱いには十分に配慮することを伝えます。


基礎情報の重要性

 基礎情報の記録は、看護過程における情報収集の一環で、重要な情報となります。


 基礎情報の中でも特に重要なのが、「入院の経過」と「患者さん・家族が問題と感じていること」です。これは、この後の段階である看護問題の抽出や看護計画の立案のために必要です。


 入院の経過では、現在の症状からこれから生じるかもしれない問題が推察できます。「患者さん・家族が問題と感じていること」では、看護をしていくうえで特に留意すべき点がわかります。


参考文献

1)大口祐矢:看護の現場ですぐに役立つ看護記録の書き方.秀和システム,2015.

【関連記事】
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