看護記録とは|目的と必要性
- 公開日: 2018/4/24
看護記録とは
看護記録は、看護師の思考(看護行為の目的や必要性の判断)、実施したケアを示すものです。ほとんどの医療施設で、看護業務の一つとして、患者さんごとに記載するようになっています。
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看護記録の目的・必要性
看護記録は大事なケア実施の証拠
看護記録は、看護師が“ケアを実施した”という大切な証しです。実践したケアの質の保証や評価をするためにも必要です。
特に医療訴訟の際には、看護記録は診療録(カルテ)と同様に重要な証拠となります。看護記録に不備があった場合、必要なケアを行っていなかったと判断されてしまいかねません。
看護師が自分自身の身を守るためにも、看護記録を的確に正しく記載することが必要だといえるでしょう。
情報共有としても重要
看護記録は、他の看護師や医師、リハビリスタッフ、ソーシャルワーカーなどの他職種が情報共有をするためにも必要です。
また、院内のみならず、退院後の在宅医療提供施設、転院先の施設で継続した看護を行うためにも必要な情報です。
さらにいえば、現在、わが国では団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて、地域包括ケアネットワークの構築が推進されています。地域の関連機関の連携が不可欠であり、ますます看護記録が重要視されていくと考えられます。
看護記録の構成
看護記録は、以下の5つの要素から構成されています。
●基礎情報
患者さんについての個別的な情報。例:氏名、年齢、血液型、既往歴、キーパーソン、バイタルサイン、アレルギー、感染症、入院までの経過、宗教、患者・家族が問題と感じていることなど。
●看護問題リスト
患者が抱える問題(看護問題)を列挙したもの。
●看護計画
看護問題を解決するためにどのようにしていくかという具体的な行動目標とケア計画を記載したもの。
●経過記録
看護問題の経過や治療・処置・ケア・看護実践などについて記載したもの。
●看護サマリー
患者さんの経過や実施されたケアなどの情報を簡潔にまとめたもの。
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【コラム】医療機関における記録の法的な位置づけ
医療機関の記録には、看護記録の他に診療録(カルテ)と助産録があります。診療録は、医師法第24条に、助産録は保健師助産師看護師法第42条に、その記録が法的に規定されています。しかし、看護記録は保健師助産師看護師法に記録の規定はありません。
ただし、医療法及び医療法施行規則において、看護記録は、地域医療支援病院及び特定機能病院の施設基準等の一つである「診療に関する諸記録」として規定されています(2年間保存)。
また、診療報酬制度上では、厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の「入院基本料に係る看護記録」に看護記録の規定があります。
加えて、健康保険法及び老人保健法の規定に基づき「保険医療機関及び保険医療養担当規則」等において、保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から3年間保存しなければならないと規定しています。
訪問看護ステーション運営に関する基準では、介護保険法の規定に基づき、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」において、訪問看護計画書及び訪問看護報告書についての作成、整備等が義務付けられています(2年間保存)。
また、健康保険法及び老人保健法の規定に基づく厚生省令「指定訪問看護及び指定老人訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」において、訪問看護計画書及び訪問看護報告書についての作成、整備等が義務付けられています(2年間保存)。
<記録に関する主な法令>
●医師法
第二十四条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
●保健師助産師看護師法
第四十二条 助産師が分べんの介助をしたときは、助産に関する事項を遅滞なく助産録に記載しなければならない。
2 前項の助産録であつて病院、診療所又は助産所に勤務する助産師が行つた助産に関するものは、その病院、診療所又は助産所の管理者において、その他の助産に関するものは、その助産師において、五年間これを保存しなければならない。
3 第一項の規定による助産録の記載事項に関しては、厚生労働省令でこれを定める。
引用・参考文献
1)大口祐矢:看護の現場ですぐに役立つ看護記録の書き方.秀和システム,2015.
2)厚生労働省法令等データベースサービス http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/index.html(2018年4月12日閲覧)
3)看護記録に関する現行法令上の規定(抜粋)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/s1005-14a.html(2018年4月12日閲覧)
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