第1回 無痛分娩の麻酔の適応、方法、禁忌、外来での説明
- 公開日: 2018/12/20
はじめに
太古の昔より、人類はお産によって子孫を残してきました。
その痛みについては、いままでの人生で経験したことのない計り知れないほどものといわれ、女性にとっては母親になるためのいわば登竜門として知られてきました。その一方で、陣痛の痛みに関して医学的に緩和する方法が発達してきました。その方法はさまざまですが、硬膜外麻酔による無痛分娩は鎮痛効果が高く、妊婦・胎児への影響が少ないため欧米などでは一般的に行われ、日本でも少しずつ増えている傾向がみられます。この連載では5回に分けて以下の内容について説明していきたいと思います。
第1回:麻酔の適応、方法、禁忌、外来での説明について
第2回:無痛分娩の流れと助産師・看護師のケア・観察ポイント
第3回:お産の進行と痛みに関して
第4回:無痛分娩後の助産師・看護師のケア・観察ポイント
第5回:無痛分娩の安全対策と急変時の対応
無痛分娩の適応
妊婦さんご本人が無痛分娩を希望していれば、適応の十分条件となり、その意向を最大限尊重することも大切です。一部の心疾患や脳動脈瘤、妊娠高血圧症候群などを合併された妊婦さんに対して無痛分娩が考慮される場合もあります。
無痛分娩の方法
1. 麻酔の方法
無痛分娩では点滴やガスを吸って鎮痛薬を投与する方法と、局所麻酔で行う方法とあります。点滴やガスを用いた方法は局所麻酔に比べると鎮痛効果はやや弱く、生まれた児も胎盤を通して鎮痛薬(呼吸が弱くなる)の影響が出ることがあります。当院では児への影響が少ない局所麻酔の方法、「硬膜外麻酔」や「脊髄くも膜下麻酔併用硬膜外麻酔」で無痛分娩を行っています。