術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア
- 公開日: 2019/2/6
今回は前回に引き続き、術後に起こりやすい痛みの種類や発生機序を理解したうえで、実際の臨床現場でどのように患者さんの痛みをアセスメントしていくかを解説していきます。
術後痛のアセスメント
手術患者さんの多くは、手術が決定した時点からすでに術後の傷の痛みを心配しています。患者さんには鎮痛を受ける権利がありますし、術後痛を治療することは医療スタッフの義務であり、最小限にとどめる工夫が求められます。そして、術後痛に対し適切に介入し治療することで、術後合併症が予防でき早期離床や社会復帰が可能となります。
外科的侵襲に対する生体の生理的反応や臨床徴候、特に術後合併症の徴候を鑑別することで、異常の早期発見と悪化の防止を図ることができます。一般的に急性期の痛みは術後24時間以内が最も強く、その後2~3日まで持続し、時間とともに消失していきます。術後4~5日経過しても術後痛が強い場合は、術後合併症等の発生が疑われるため、痛みの性質をアセスメントしながら適切な看護介入につなげましょう。
術後急性期の経時的な回復過程と痛みの特徴
術後24時間以内
麻酔覚醒と同時に強い痛みを自覚し始め、術後4~9時間が最も強くなります。この時期の痛みを我慢させてしまうと、深呼吸が抑制され呼吸パターンの悪化や喀痰貯留を招き、無気肺など呼吸器合併症の原因となります(特に開胸術や上腹部手術)。また交感神経の緊張により、血圧上昇や頻拍など心臓の働きに負担をかけるような循環器合併症を起こしやすく、創傷の治癒過程も障害されるため十分な鎮痛を行うことが重要です。
この時期に患者さんの表面痛(体性痛:皮膚表面の傷の痛み)のみでなく、呼吸苦や肺音の異常、胸痛や胸部不快感、バイタルサインの異常、後出血、ドレーン排液の異常などを発見したら、早急に医師に報告し対応する必要があります。