【連載】COPDとは全く違う! 知ってる? 間質性肺炎の看護
間質性肺炎とは?|特発性肺線維症(IPF)の治療とリハビリテーション
- 公開日: 2019/7/7
この記事では、特発性間質性肺炎の中でも臨床現場で出合う最もメジャーな特発性肺線維症(IPF)について解説します。
治療・リハビリテーション
進行スピードを緩やかにし予後改善につなげる
特発性肺線維症(IPF)は進行性の疾患で治癒を目指すことは難しく、平均生存期間が3~5年とされ、多くのがんよりも予後不良な疾患です2)。かつては、IPFと診断された場合、ステロイドや免疫抑制剤などを併用することもありました。しかし、無効であるばかりか、死亡率、入院率が増加し予後を悪化させていることがわかり3)、今では推奨されていません。
最近では、抗線維化薬が登場し、治療の柱となっています。抗線維化薬には、ピルフェニドン(ピレスパ®)とニンテダニブ(オフェブ®)の2種類があります。詳しくは薬物療法の項に譲りますが、これらの薬剤はサイトカイン産生を抑制し線維化を抑制することで、肺活量の低下を遅らせます。肺活量の低下が大きいほど死亡率が高くなるとされているため、疾患進行スピードを緩やかにすることが予後改善につながると考えられます。
しかし、IPFと診断されたら直ちに治療を開始するとは限りません。進行スピードは患者によってまちまちであることや、治療による副作用を考慮して、進行スピードを見極めてから、治療が開始されることが多くなります。ピレスパ®は食欲低下と日光過敏、オフェブ®は下痢と肝機能障害が主な副作用です。
なお、基本的なことですが、発症の危険因子として喫煙が知られています。生活指導のなかで、禁煙を指導・サポートすることも看護師の役割として大切だと考えます。
乏しい治療効果
IPFは、前述したように慢性に進行していく疾患です。しかし、その進行速度は患者によりさまざまであり、長期経過を予測することは難しいとされています4)。
また安定した病状にあっても、感冒などへの感染や手術を契機に「急速に(1カ月以内に)呼吸困難や咳などの自覚症状が出現し、呼吸不全が進行する」ことがあります。これを急性増悪と呼びます。一見、肺炎や心不全かと悩むような症状や画像所見を呈するため、診断に苦慮する症例が多くあります。
急性増悪に対して効果が証明されている治療法はありませんが、一般的にはステロイドパルス療法や免疫抑制剤が多く使用されます。ただ、残念ながら治療効果は乏しく、過去の報告での死亡率は80%と報告されているものもあり、予後不良です5)。