溶連菌の感染症が増加中! 感染症治療に欠かせない抗菌薬の使用方法にも注意!
- 公開日: 2019/6/19
今年は特に溶連菌の感染者が増加しています。2〜3月の溶連菌感染症患者数は、ここ10年で3番目に多いとされています*1、2。溶連菌とはどんな感染症を引き起こすのか、またその治療について知っておきましょう。
主な感染症は咽頭炎
溶連菌と一般的にいわれる病原菌の正式名称はA群溶血性連鎖球菌といいます。溶連菌によって起こる疾患で最も頻度が高いものは咽頭炎です。咽頭炎の典型的な症状は喉の痛みと発熱であり、風邪との違いは咳や鼻水の症状があまり見られない点です。また、喉の痛みと発熱の他に腹痛や頭痛、気持ちが悪いといった症状が現れることもあります。
潜伏期間は2〜5日で、医療機関の検査で溶連菌とわかれば10日間の抗菌薬が処方され、治療を行います。
発生件数は少ないですが、合併症として関節や心臓の弁膜に障害を起こすリウマチ熱や腎臓の機能に障害が起こる急性糸球体腎炎に繋がることもあります。溶連菌の感染症には、菌そのものが引き起こす症状と、菌への免疫反応による症状があります。咽頭炎は前者で、リウマチ熱や糸球体腎炎は後者になります。いずれにしても、軽く考えず、溶連菌について正しい情報を知ることが大切です。
抗菌薬の使用は適切に行う
溶連菌の感染経路は、飛沫感染になります。予防は標準予防策の徹底、特に手指衛生が重要になります。
感染してしまったら、主にペニシリン系の抗菌薬を用いて治療します。治療のゴールは症状を抑えることだけでなく、合併症の発症を防ぐことです。合併症を防ぐためには、服用を途中で中止せず、指示された期間、飲みきることが重要です。
抗菌薬の過剰な使用、間違った使用によって、薬剤耐性菌が生まれることがわかっています。感染症を学ぶとともに、薬剤耐性菌についても知っておきましょう。
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AMR臨床リファレンスセンター
*1 https://www.niid.go.jp/niid/ja/10/2096 weeklygraph/1646 03strepta.html
*2 https://www.niid.go.jp/niid/ja/data.html