【術前・術後ケア】患者が周術期に抱く不安に対応する場面 ~直腸がん患者への術前・術後ケアより~
- 公開日: 2019/11/10
私の看護のエッセンス
●患者が自分らしく過ごせるように支えます。
●患者の不安は何なのか、漠然とした言葉にならないものなのか、具体的なものなのかを明らかにします。
●チームで患者を看ます。
●確実なケアは信頼につながります。
事例紹介
Bさん、直腸がん、50歳代、男性。
Bさんは、これまで大きな病気やけがをしたことはなく、初めての手術でした。腫瘍は大きく、根治のために術前化学療法としてSOX+Cmab(1クール3週間)を2クール行いました。化学療法の副作用が強く現れ、皮膚障害、食欲不振、倦怠感に耐えながらも仕事を続けてきました。入院前の外来では「腫瘍が肛門付近にあるため、一時的ストーマを造る」と説明されていましたが、入院後の術前の説明で、「術中の所見次第で、術式が超低位直腸前方切除術または、マイルズ術を行う可能性がある」と説明がありました。つまり、永久ストーマになる可能性が伝えられました。永久ストーマになる可能性もあると知り、Bさんはひどく落胆して、主治医からの説明の内容もあまり頭に入ってこないようでした。主治医からの説明の後にBさん、妻からそのときの思いや今後の生活への不安を聞きました。その後、手術はマイルズ術が行われ、永久ストーマとなりました。術後経過は順調で、ストーマのトラブルもなく退院となりました。