看護師特定行為研修をスタートさせ総合力を擁した看護師の育成を進める<水戸済生会総合病院>【PR】
- 公開日: 2019/10/4
循環器、消化器、総合母子周産期医療などの各センターを有し高度・先進医療を提供すると同時に、救命救急センターを中心に県北・県央地域の救急医療を担う水戸済生会総合病院。地域連携による地域完結型医療を目指しています。そんな同院では、新たに「特定行為に係る看護師の研修制度(看護師特定行為研修)」を開始。院内はじめ地域に貢献できる力をもつ看護師の育成に着手しています。
基本的な能力を身につけたうえで専門性が高められる研修に
研修制度(以下、看護師特定行為研修)」を、栄養・水分管理と血糖コントロールの2区分で2018年に開始しました。2019年には分野を増やして全12区分となり、2020年にはさらに4区分が追加になる予定です(表参照)。各区分の定員は10名で、共通科目320.5時間、各区分18~72時間のカリキュラムが、eラーニングおよび演習・実習によって行われます。2018年度は6名が修了し、2019年度は6名が受講中です。
「これからの医療には医師と共通の認識下で会話できる能力をもつ看護師が必要と考え、看護師特定行為研修を始めました。まずは、基本的な能力として求められる栄養・水分管理の区分からスタートできるよう配慮し、2019年度からは、さらに多様な専門性を高められるよう区分を追加しました」こう話すのは看護師特定行為研修責任者である青柳智和さん。自らもいち早く診療看護師(NP)*となり、医師と連携を図りながら患者さんとかかわってきた実績をもちます。
特定行為研修を修了した看護師(以下、特定看護師)は、診療の補助行為として、医師が定めた手順書に則して定められた38の特定行為を行うことができます。「ただし、一つの行為を実施するといっても、栄養管理・水分管理の知識をベースに、病態はもちろん検査データや画像から的確なアセスメントを行い、さらに薬剤の知識を活用して、多角的な視点から患者さんをみる必要がある」と青柳さんは話します。
そのため、同院の看護師特定行為研修では、そういった厚みのある看護を展開できる総合力が身につけられるように考えているといいます。
専門的な能力を身につけた特定看護師であっても、患者さんの療養を支える姿勢と笑顔は変わらない
看護師特定行為研修責任者である青柳智和さん(右)と看護主任で特定看護師の河尾眞美さん
*日本NP教育大学院協議会が認めるNP教育課程を修了し、同協議会が実施するNP資格認定試験に合格したもので、保健師助産師看護師法が定める特定行為を実施することができる看護師
活用システムのモデルを作り特定看護師の力が生かせる環境を
特定看護師を活用するためには、手順書の作成や連携方法の整備など準備が必要です。同院では、整形外科病棟をモデルにして、そのシステム作りを進めています。高齢で現傷病以外に内臓疾患が併存する患者さんの多い病棟なので、特定看護師の能力がより生かせると考えたためです。
2018年度の修了生はすでに特定看護師としてのスタートを切り始め、6月からは採血やX線撮影のオーダーも担い、秋頃には輸液やインスリンの調整にも携わる予定です。「医師や他職種など周囲もまだ慣れていませんから、特定看護師の業務の幅を段階的に広げながら、当院に合ったかたちを探りたい。このモデルケースを踏まえ、将来的には特定看護師が全病棟で活躍できるようになればと考えています」(青柳さん)
2019年度の看護師特定行為研修開講式。受講生代表もあいさつ
2019年度受講生の研修の様子
身につけた専門性を病棟に還元活躍を目指す特定看護師
2018年度修了生の一人である河尾眞美さんは、栄養・水分管理と血糖コントロールの2区分を受講。アセスメントの幅が格段に広がったと話します。「どういう場合にどういう指示が出されるかは概ねわかっていましたが、研修を経て、その陰にある医師の多様なアセスメントと判断を知ることができました。これを踏まえることで、同じ検査データでもどのようにみたらよいかがより鮮明になり、画像も積極的に活用するようになりました」(河尾さん)
河尾さんは、2019年度も呼吸器関連と循環動態の看護師特定行為研修を受講しています。「学び方もわかってきて、生活リズムの一部として自己学習できるようになりました。
すでに学んだ栄養・水分管理をベースに、より看護ニーズの高い分野の知識・技術を身につけ、患者さんや病棟に還元していけるようになりたいですね」と河尾さん。同院では、働きながら看護師特定行為研修を受講できる制度もあり、エリア外からの受講生の受け入れも行っています。
「複数区分の特定行為を修得することは、本人にとっても、病院にとっても大きな力になる。多くの看護師にトライしてほしいと思います」(青柳さん)
特定看護師には専用のユニフォームがある。肩口には特定看護師を示す「Advanced Nurse」の文字が
DATA
水戸済生会総合病院
茨城県水戸市双葉台3-3-10
開設1943年
病床数472床
職員数約950名(うち看護職430名)※2019年8月現在
看護体制一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/茨城県地域/茨城県地域医療支援病院/茨城県がん診療指定病院
ニプロ株式会社発行:看護情報誌「ティアラ」2019年9月(no.124)より転載