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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

国際生活機能分類―国際障害分類改訂版―

  • 公開日: 2020/2/2

1. この分類は何を判断するもの?

 国際生活機能分類は、人間の生活機能と障害の程度を示す分類方法です。病気や加齢による障害の程度を示す分類方法はこれまでにも多くのものが存在していました。しかし、国際生活機能分類は障害の程度を「マイナス面」から捉える従来の評価方法と異なり、生活機能という「プラス面」に環境因子を加味して評価することで個人だけでなく社会全体にかかわる課題を伺うことができるのです。

 この分類法は2001年にWHOで採択されました。障害の程度を含めた個人の健康状態にかかわるさまざまな因子を独立して分析することで、健康状態に影響を与える社会的・医療的観点を包括的かつ中立的に評価ができます。このため、現在では医療や介護の現場において、患者さんや利用者さんに対する適切な介入を分類するために広く取り入れられています。

2. 分類はこう使う!

 国際生活機能分類で評価される生活機能とは、人が「生きる」ことを包括的に捉えた概念です。そして、この生活機能が高水準に保たれた状態を「健康」と考えます。

 生活機能には、病気や障害などの「心身機能・構造」、個人レベルの生活である「活動」、社会生活や活動などにかかわる「参加」という3つの柱が含まれています。そして、その柱にはそれぞれにバリアフリー、人的環境、偏見差別といった社会の意識などの「環境因子」と一個人としての価値観や個性などの「個人因子」が相互にかかわっていると考えます。

国際生活機能分類
厚生労働省社会・援護局少額保険福祉部企画課:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)(2019年12月3日閲覧)より引用

国際生活機能分類の表
厚生労働省社会・援護局少額保険福祉部企画課:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)(2019年12月3日閲覧)より引用

 国際生活機能分類では、これらの項目をそれぞれ独立した因子として評価し、「健康状態」を向上するためにどのような角度から介入を行うべきか分析していくのです。

3. 分類の結果を看護に活かす!

 国際生活機能分類による分析を看護に活かすには、第一にそれぞれの因子を正しく評価することが大切です。そして、それぞれの因子同士が互いにどのような影響を及ぼすのか分析していきます。

 例えば、脳梗塞の後遺症で麻痺が残った人が「健康状態」を向上させるには、リハビリを行って機能回復を目指すだけでなく、麻痺側を使わない動作を家庭内で行う「活動」や麻痺があってもできる仕事を続ける「参加」といったアプローチが考えられます。これらの介入によって機能が回復する可能性が高まり、その結果「健康状態」は向上していくのです。

 このように、国際生活機能分類を活用することで「健康状態」を高めるためのさまざまな対策が見えやすくなります。しかし、それぞれの因子は症状や状況によって刻々と変化していきますので、定期的に因子の評価を見直すようにしましょう。

引用文献

1)厚生労働省社会・援護局少額保険福祉部企画課:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)(2019年12月3日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

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