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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

脳卒中重症度スケール(Japan Stroke Scale:JSS)

  • 公開日: 2020/1/28

1.このスケールは何を判断するもの?

 脳卒中重症度スケール(Japan Stroke Scale:JSS)とは、脳卒中の患者さんの急性期における重症度を判定するためのスケールの一つです。1997年に日本脳卒中学会によって発表されて以来、急性期の脳卒中診療の場において広く取り入れられています。

 このスケールは意識や神経症状に関する12項目についてそれぞれ2~3段階に評価を行い、それぞれに定められた点数を加算し計算することによって重症度を評価します。また、各項目の数値は統計的根拠に基づいて定められているため、合計された点数は重症度に比例するのが大きな特徴です。また、このスケールは意識障害の占める割合が高くなっています。そのため、意識障害の程度が高い重症ケースの評価に適しているとされています。

 一方、意識障害がないもしくは軽度で運動機能障害が目立つ患者さんの評価では、実際の重症度より軽く評価されてしまうのがデメリットです。

2.スケールはこう使う!

 脳卒中重症度スケール(JSS)の評価項目は、下記になります。

評価項目

意識
言語
無視
視野欠損または半盲
眼球運動障害
瞳孔異常
顔面麻痺
足底反射
感覚系
運動系(手)
運動系(腕)
運動系(下肢)

 それぞれの項目は日本脳卒中学会が定める評価用紙にしたがって2~3段階(A、B、C)に評価し、それぞれに定められた数値を決められた手順で計算していきます。数値は-0.38と26.95の間となり、数値が大きいほど重症度が高いとされます。

 急性期の患者さんに用いるスケールとしては評価項目が多いですが、患者さんの状態を正しく把握するためにもそれぞれの項目は正確に評価するようにしましょう。

 また、最も大きなウエイトを占める意識レベルの評価に関しては、Glasgow Coma Scale(GCS)を優先し、評価者の不慣れなどやむを得ない場合のみJapan Coma Scale(JCS)を用いてよいとされていますので注意しましょう。

脳卒中重症度スコア計算用調査票は日本脳卒中学会のサイトからダウンロードできます。
https://www.jsts.gr.jp/

3.スケールの結果を看護に活かす!

 現在、脳卒中重症度スケール(JSS)は点数と重症度が比例する定量化された唯一のスケールとなっています。このため、急性期の患者さんの診療においては外来・入院を問わずさまざまな場面で用いられているのが現状です。しかし、このスケールは意識障害が軽度な患者さんは実際の重症度よりも低く評価されがちというデメリットもあるため、日本脳卒中学会は運動機能障害に評価に重点を置いたJSS-Mなどの新たなスケールも発表しています。スケールを用いて患者さんの評価を行う場合には、患者さんそれぞれに適したスケールを選択するようにしましょう。

 また、このスケールで重症度を評価した場合は、点数が高いほど重症度も高いことを意識し、高値の患者さんはバイタルや呼吸状態を慎重に観察することが大切です。また、急性期では増悪や再発を生じるリスクもあるため、評価した点数よりも状態の悪化が見られた場合は速やかに医師に報告することも忘れてはなりません。

参考文献

日本脳卒中学会:日本脳卒中学会Stroke Scale.(2019年12月10日閲覧)https://www.jsts.gr.jp/

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* NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)

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