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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

SCORAD(アトピー性皮膚炎重症度評価法)

  • 公開日: 2022/11/30

SCORADは何を判断するもの?

 SCORAD(Severity Scoring of Atopic Dermatitis)とは、European Task Force on Atopic Dermatitis (ETFAD)によって作成された、アトピー性皮膚炎の重症度を評価するための指標です。

 アトピー性皮膚炎では、合併症のリスクやQOLを考慮しつつ、病状に合わせた治療方法を正しく選択する必要があります。そのうえで、重症度の評価は非常に大切であり、治療方針を決める際の基本といえます。

 アトピー性皮膚炎の重症度を評価する指標としては、SCORADのほかに、厚生労働科学研究班による「重症度のめやす」、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎重症度分類検討委員会が考案した「アトピー性皮膚炎重症度分類」、乾癬の重症度分類(PASI)をベースにして作成された「Eczema Area and Severity Index(EASI)」などさまざまなものがありますが、SCORADは統計学的信頼性と妥当性が高いことから、世界的に広く使用されています。

SCORADはこう使う!

 SCORADによるスケーリングは、専用の検査用紙を用いて行います(図)。

図 SCORAD

日本アレルギー学会,他:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021.アレルギー誌 2021;70(10):1257-1342./日本皮膚科学会,他:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021.日皮会誌 2021;131(13):2705.(2022年11月8日閲覧).https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/ADGL2021.pdfより引用

 皮疹がある部位の範囲は、頭部の前後面(各4.5%)・左右の腕の前後面(各4.5%)・胸腹部(18%)・背部(18%)・下肢の前後面(各9%)・外陰部(1%)で評価します。皮疹の強さに関しては、紅斑・浮腫/丘疹・浸出液/痂疲・掻破痕・苔癬化・皮膚の乾燥の6項目について、それぞれ症状なし~重症まで0~3点で評価します。その他、自覚症状として、かゆみと不眠の程度を0~10にスケーリングして全体の合計点を算出し、点数が高いほど重症度も高いと考えます。

 SCORADを用いたスケーリングにより全体の重症度を評価することで、治療方針の決定につなげていきます。

SCORADの結果を看護に活かす!

 アトピー性皮膚炎患者さんは、重症度によって皮膚感染症を引き起こしやすく、強い掻痒感がある場合は、不眠などQOLの低下につながることも少なくありません。

 アトピー性皮膚炎の症状をコントロールするための治療の一つに薬物療法がありますが、ステロイド外用薬はその有効性と安全性から、アトピー性皮膚炎治療の基本となる薬剤として使用が推奨されています1)

 ステロイド外用薬で治療をしているにもかかわらず、SCORADによる評価で症状の改善がみられない場合、投与方法(塗布量、塗布回数、塗布範囲、塗布期間など)が適切でない可能性も考えられます。患者さんに普段の投与方法を確認し、医師の指示どおりに使用するよう指導します。

 また、ステロイドに対して漠然とした不安を抱く患者さんもいます。患者さんがどのようなことに不安をもっているのか確認するのとあわせて、ステロイドの有用性や症状をコントロールするうえで欠かせない薬剤であることなどについて、丁寧に説明することが大切です。

引用・参考文献

1)日本皮膚科学会,他:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021.日皮会誌 2021;131(13):2712-3.(2022年11月8日閲覧)https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/ADGL2021.pdf
●福家辰樹:アトピー性皮膚炎.小児保健研究 2017;76(2):135-41.(2022年11月8日閲覧) https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2017/007602/008/0135-0141.pdf

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